特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.437 2025年04月号

工学を学ぼう

特集 08

新規物質を研究する魅力 Attraction to research novel substances

「物質の表面の原子一つ一つや電子分布が見えるSTM(走査型トンネル顕微鏡)を用いて超伝導の性質を調べています」

理系の基礎である物理を通して様々な応用ができる人間になりたい

応用物理学専攻 トポロジー理工学研究室 修士課程1年
飯野 英明

[PROFILE]

出身高校
志學館高等部
研究分野
低次元導体
研究テーマ
新規分子性導体の作製と電子物性の研究

金属の性質を与えた分子性導体

分子性導体とは、通常は電気を流すことのない非金属元素を中心とした分子で構成されており、分子の設計などを工夫し、「伝導性」という金属的な性質を与えた物質のことです。私が現在行っている研究は、正の電荷を持つドナーと負の電荷を持つアニオンを入れた溶液に電気を流すことで今まで作られてこなかった分子性導体の結晶を作り、その物質の性質を調べることです。これまで誰もやったことのないことに取り組めることが、研究のモチベーションになっています。

超伝導が起きてほしい!

この研究の魅力は、試験管に材料を入れて電気を流すというとても簡単な作業で新規物質を作れることです。新規物質の物性測定時には私の研究の目標である「超伝導が起きてほしい!」という願望と「予想外のことが起きるのでは?」というワクワクが共存しています。研究内容は非常に基礎的なことですが、理系の学問の基礎である物理を通して、様々な応用ができる人間になりたいと考えています。

図1 成長中の結晶の様子 Figure 1 : View of growing crystals