特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.437 2025年04月号

工学を学ぼう

特集 07

研究を通して人生が豊かになる Life is enriched through research

「数100~数μmまでの大きさの試料を測定できる顕微FT-IR。細部の化学構造に関する情報を取得できます」

当たり前に注目する力でささいな光景が感動に変換!

空間性能システム専攻 建築材料学研究室 2025年3月修士課程 修了
池田 智裕

[PROFILE]

出身高校
高知工業高等専門学校
研究分野
建築材料学
研究テーマ
発泡断熱材のリサイクル技術構築

高性能なリサイクル断熱材

私たちの家やビルの中を暖かく保ってくれる断熱材の大半は、建物の解体とともに廃棄されます。そこで私たちの研究室では、低コストで断熱材を再利用する技術の構築を目指しています。リサイクル断熱材を作っては性能を測り、バラバラに壊しては様々な分析装置で実験を行うというサイクルを繰り返しています。主に0.001mm(数μm)程度の測定を行い、その結果から得た考察を基に作り方を改良し、高性能なリサイクル断熱材を作ろうとしています。

研究で得た力が日常に反映

予測と異なる結果が出ると、ただのグラフのように感じるデータを丁寧に見て原因を考察することが求められます。そこからその現象を解明できたときの感動はひとしおです。こうして培った「目の前の当たり前に注目する力」は、実生活を豊かにしてくれます。青い空が夕方になると赤くなるのはなぜなのか、そんな日常の小さな出来事に感動できるようになるのは、研究の素晴らしい恩恵の一つだと思います。

図1 測定用サンプルの開発 Figure 1 : Typical examples of complex fluids
図2 リサイクル断熱材の断面写真 Figure 2 : Cross-sectional photo of recycled insulation material