特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.437 2025年04月号

工学を学ぼう

特集 03

新しい時代をCFRPとともに切り拓く Pioneering a new world with CFRP

コンポジットファイバー縫い付け機(TCWM)は炭素繊維を曲線状や複雑な形状にも縫い付けることができます」

軽くて強い驚愕の新材料CFRPの応用分野を広げたい

人間機械システムデザイン専攻 変形制御学研究室 修士課程2年
久嶋 拓也

[PROFILE]

出身高校
山梨県立甲府東高等学校
研究分野
複合材料工学
研究テーマ
シェル構造に向けた曲線状強化繊維複合材の最適設計手法の開発

軽くて強い夢の材料

炭素繊維強化複合材(CFRP)とは、髪の毛の10分の1ほどの細さの炭素繊維を樹脂(プラスチック)で固めた材料です。金属よりも軽くて強いため、飛行機やスポーツカーをはじめ幅広い分野で利用されています。しかしその設計方法は複雑で、まだ研究段階に留まっているものが多いです。そこで私は、ミシンのような仕組みで炭素繊維を縫い合わせるファイバー縫付機(TCWM)を活用して、より高い強度を引き出す設計方法の実用化を目指しています。

新しい材料のものづくり

CFRPに初めて触れたとき、見かけによらずその圧倒的な強度に驚愕しました。「ものづくりを通じて社会に貢献したい」と考えていた私にとって、この材料だ!と感じた瞬間でした。研究を始めてからは金属や木材では当たり前だったことが通じずに苦悩することもありますが、その分新たな発見や画期的なアイデアが多く潜んでいます。まだ誰も知らない世界を覗くことができるのが、CFRPを扱う研究の醍醐味だと感じています。

図1 TCWMにより成形したCFRPの様子 Figure 1 : CFRP fabricated by TCWM