特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.437 2025年04月号

工学を学ぼう

特集 04

製造方法を変えると特性も変わる Changing the production process also changes the properties of the materials

「空気中の水分を遮断するグローブボックスと電位を制御できるポテンショスタットを用いて電解めっきを行います」

私たちの日常生活は金属材料の研究成果でできている

材料科学専攻 環境材料学研究室 修士課程2年
古関 百花

[PROFILE]

出身高校
北海道札幌西高等学校
研究分野
イオン液体化学
研究テーマ
イオン液体中で形成されたAl電解めっき膜の特性

製造過程の不思議

私たちが日常生活で使う多くの製品、自動車や家電製品などは金属材料の研究から創り出されたものです。同じ金属材料でも製造方法が異なると、その特性も変化します。例えば、金属の箔は大きな塊を何度も圧延して薄くするトップダウン方式で製造されますが、電解めっきのように原子レベルの薄い層を少しずつ積み上げるボトムアップ方式で作ると、両者の特性は全く同じにはなりません。製造過程の様々な要因が影響することが不思議に思えると同時に、新たな材料開発の可能性を感じます。

アルミニウムの新たな特性

私は電解めっき法でアルミニウム薄膜を創り、その特性を調べる研究を行っています。アルミニウムは自動車や航空機などスケールの大きいものから、薬品の包装や飲料缶などの比較的小さな製品まで様々なものに使われています。アルミニウムの新たな特性を研究することでその成果が未来の技術や製品に結びつく可能性があり、非常にやりがいがあります。

図1 市販のアルミニウム箔と電解めっきでつくられたアルミニウム膜の電子顕微鏡像 Figure 1 : Surface Scanning Electron Microscope (SEM) images of (a)commercial Al foil and (b)Al foil formed by electroplating