特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.437 2025年04月号

工学を学ぼう

特集 01

美味しくて安全な水道水を世界中に届けるために For supplying delicious and safe drinking water to the world

「分析装置のGC/olfactometryは食品や香料の分野でもよく使われています」

北海道暮らしを楽しみながら環境のためにできることを研究中!

環境創生工学専攻 環境リスク工学研究室 修士課程1年
林 美穂

[PROFILE]

出身高校
石川県立金沢泉丘高等学校
研究分野
環境工学
研究テーマ
GC/olfactometryを用いた浄水カルキ臭の全体像の解明

環境について幅広く学べる北大に

中高生の頃から水資源や過剰包装と廃プラスチックの問題など、日常生活とつながっている環境課題に関心がありました。そこで大学を調べていたところ、北海道大学の環境社会工学科環境工学コースで幅広く環境について学べることを知り、工学部を目指しました。単純に北海道で暮らしてみたかったという憧れも自分の中にありました。

水道水のカルキ臭の原因を探索

私の研究室では「安全な水道水を世界中に届けること」を最終目標に、様々なテーマで研究しています。その中でも私は水道水に含まれるカルキ臭に着目し、その原因物質を明らかにしようとしています。カルキ臭とは塩素消毒によって生じる独特な臭いで、水道水の美味しさを損なわせる要因の一つとされています。水中の塩素とアンモニアが反応することで生成されるトリクロラミンがカルキ臭に寄与していることは広く知られていますが、その全体像は未だ解明されていないのです。

実験には人の嗅覚を検出器としたGC/olfactometryという分析装置を使っています。水道水に含まれる臭い物質はとても微量なので、サンプルの前処理など分析方法に日々工夫を重ねているところです。臭いの感じ方には個人差があるため、研究室の人たちにも協力してもらいながら複数人で解析しています。他にも各地の浄水場からサンプルをいただくなど、多くの方々と連携して研究を進めています。

北大ライフを思いきり満喫中

お昼には研究室の同期と工学部の食堂で食べるのがいい息抜きになっています。おすすめメニューは豚塩焼肉丼で、オクラをトッピングするのがお気に入りです。週末はカフェ巡りや家で音楽を聴きながらのんびりと過ごし、夏はよく研究室の人たちとサイクリングに出かけています。

Message

今こちらをご覧の皆さんはきっと将来やりたいことを考え中だと思いますが、ぜひそこで地球環境のためにも自分にできることがないか、考えてみてください。そこから新たな進路が見つかるかもしれません。また、研究の世界では男女関係なく力を発揮することができます。同じ研究室の女性たちも学会で発表賞を受賞するなど、様々な場面で活躍しています。

ある一日のスケジュール
6時 起床 → 9時頃 登校 → 講義または実験 週2日は研究室のゼミで研究の進捗を報告 → 12時 工学部食堂で昼食「おすすめメニューは豚塩焼肉丼にオクラトッピング」 → 15時 午後は実験やゼミの資料の準備、指導教員とのディスカッションなど「指導教員の松下拓教授は、教員室のドアを開けていていつでもディスカッションに応じてくれます。」 → 18時 夕食は研究室のみんなで食べにいくことも「アットホームな雰囲気の研究室。春から秋は北大名物のジンパ(ジンギスカンパーティー)、冬は鍋を月1で囲み、親睦を深めています。」 → 20時~22時頃 帰宅 → 21時 家では好きなジャズを聴きながら過ごす → 24時 就寝