特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.434 2024年04月号

工学を学ぼう

特集 05

大きな建物を支えるのは厚さ数㎛の世界? What in the world is a few ㎛ thick to support a large building?

ナノインデンターは材料の極微小な領域に微小な荷重を施し、硬度や弾性率などの機械的特性をナノスケールで正確に測定する装置です」

災害リスクを視野にコンクリートの弾性率を測定

空間性能システム専攻 建築材料学研究室 修士課程2年
甲斐 和樹

[PROFILE]

出身高校
クラーク記念国際高等学校
研究分野
建築材料学
研究テーマ
コンクリート遷移帯の弾性率測定

建物を支えるコンクリート

建築物の主な構成要素であるコンクリート。近年増え続ける災害リスクに対して十分な耐力を担保できているのか、性能面で不安を抱える人も多いのではないでしょうか。そんな不安を解消するために、コンクリートの中でも最も壊れやすい、厚さ数㎛からなる「遷移帯(せんいたい)」の精密な分析を行うことで、建物の力学的モデリングの性能向上に貢献する研究に取り組んでいます。

コンクリートをミクロに分析

コンクリートの遷移帯は異なる材料間の微細な境界領域です。ここを調べるためナノインデンターという精密機械を使い、超小型の圧子を用いて微小領域の弾性率を高精度で測定しています。この実験によって、コンクリート遷移帯の分析を局所的に行い、材料の力学的挙動を理解するための重要なデータを収集しています。地道な測定が続く研究ですが、より安心した暮らしを実現するために日々研究に励んでいます。

図1 測定に用いるナノインデンター Figure 1 : Nanoindentor used for measurements