特集 02
微生物の秘めたる力 A potential of microorganisms
「“液クロ”の愛称で広く使われている高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は試料中に含まれる複数の成分を分離し、何がどのくらい含まれているかを分析してくれます」
クモの糸に導かれてモノ作りの世界へ
総合化学院 総合化学専攻 生物合成化学研究室 修士課程1年
伊関 叶互
きっかけはクモの糸
私の地元である山形県鶴岡市にはSpiberというバイオ素材メーカーがあり、「クモの糸」を人工的に作っています。中学時代、Spiberに見学へ行き、「クモの糸は鋼鉄より頑丈なんですよ」と聞いたとき、ものすごい衝撃を受けました。以来、生物を利用したモノづくりに興味を持つようになり、生物工学の道へ進みました。現在では、「プラスチックの酵素分解」に取り組んでおり、毎日大腸菌の力を借りて楽しみながら頑張っています。
プラスチック工場 in 大腸菌
大腸菌などの微生物はもともと細胞内にプラスチックを作る「もと」を持っています。大腸菌にプラスチックを作ってもらう過程でカギとなるのが、「タンパク質」です。タンパク質には様々な種類があり、その中には「プラスチック合成タンパク質」もあります。このタンパク質を導入すれば、大腸菌は小さなプラスチック工場になります。大腸菌の体内でプラスチックの「もと」と「タンパク質」を巧みに操り、プラスチックを合成しています。