大学院生特集1

Four Lives 03

伊東 大輔

応用物理学専攻
生物物理工学研究室
博士後期課程3年

伊東 大輔 Daisuke Ito

[PROFILE]
◎出身地/福島県いわき市
◎趣味/ウィンタースポーツ

研究編
脳の不思議の
メカニズムに迫る

実験の様子
実験の様子
 私たち生き物の脳は、「ニューロン」と呼ばれる神経細胞が互いに手をつなぎ、ネットワークを形成することで成り立っています。このネットワーク中を「インパルス」と呼ばれる電気信号が流れることで、手足を動かす、感じ取る、記憶する、といった命令をする事が可能になります。ネズミの脳からニューロンを取り出し、培養皿の上で育てると、自律的にネットワークを形成し(図1)、インパルスが流れるようになります。このインパルスを、複数の電極が底面に並べられた特殊な培養皿(図2)を用いて計測することができます。この方法を用いて、ニューロンのネットワーク中をインパルスがどのように流れているのかを調べるのが私の研究テーマです。
 この研究テーマに興味を持ったのは、以前から脳という不思議な器官に漠然と関心を抱いていたことと、工学部でありながら脳の情報処理のメカニズムに迫る、という斬新さに惹かれたことがきっかけでした。将来的には、新薬の評価への応用や、人工知能・サイボーグの開発にもつながっていく研究だと思います。私は応用物理学専攻に所属していますが、化学・生物などの幅広い知識も必要とされ、毎日勉強の日々です。しかし、工学と異分野の研究を融合させ、新たな発見を目指していけるのがこの研究の醍醐味であり、面白いと感じているところです。これまでの学問領域にとらわれず、さまざまな視点から考えることのできる研究者になりたいと思っています。

研究室の仲間と
研究室の仲間と

図1  ネットワークを形成したニューロンの顕微鏡写真(薬品で着色)
図1 ネットワークを形成したニューロンの顕微鏡写真(薬品で着色)
図2 複数の電極が埋め込まれた特殊な培養皿
図2 複数の電極が埋め込まれた特殊な培養皿

生活編
大いに刺激を
受けた国際学会

 博士後期課程に進学してから、これまでアメリカ合衆国(サンディエゴ、ワシントンDC)、ドイツに行き、北米神経科学会年会などの国際学会で3回の研究発表を行いました。英語で発表するので、国内学会での発表よりも入念に準備する必要があります。発表前日には、ホテルで壁に向かって何度も発表練習するのが私の中での約束事になりました。質問されそうな事に関しては、あらかじめ答えも用意しておきます。しかし、予想もしていなかった質問に、言葉が出なくなってしまうこともしばしばです。国際学会に出席していつも感じるのは、海外の研究者はどんな基本的なことでも積極的に質問してくることです。その貪欲な姿勢は私も学ばなければならないと思いました。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」、ということわざを肝に銘じ、わからないことを認め、逆に教えてもらうことでこれから成長していきたいと思います。
 また、国際学会で最先端の研究に触れると、私ももっと頑張って研究し、世界に追いつかなくては! と大いに刺激されます。国際学会は、世界に自分の研究をアピールする場であると同時に、良いカンフル剤でもあると思います。

ワシントンDCのスミソニアン博物館の前で
ワシントンDCのスミソニアン博物館の前で

message
新入生の皆さんへ 専門的な研究を進めることはもちろん大切です。しかし、研究活動を通して、コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力・論理的思考力などの、社会人として必要な能力を養うことはもっと大切だと思います。頑張ってください!
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    エネルギー環境システム専攻
    応用熱工学研究室
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