杭基礎一体型鋼管集成橋脚構造の開発と設計規範の確立
低コストの既製鋼管4本を、履歴型ダンパー機能を有するせん断パネルにより結合した柱構造（鋼管集成橋脚と呼称）が提案されています。この工法は、安価な材料、鋼材履歴減衰の有効利用、アンカーフレームの省略等をもとに考え出された構造であり、死荷重、活荷重の鉛直荷重を受けもつ主部材と地震力等の水平荷重対応の二次部材を用いる損傷制御設計を適用しています。これまで，鋼管集成橋脚構造に関する実物大模型実験および数値解析の結果から、損傷制御設計の考え方により鋼管の損傷を抑制し、それらを拘束するせん断パネルに履歴型ダンパーを期待する構造系が成立し、脚高が高い従来型鋼製橋脚と同等の基本性能を有すること、せん断パネルの履歴減衰により主部材である鋼管基部の累積履歴エネルギーを大きく低減しうることが明らかにされています．
本研究では、さらに合理的に橋梁全体を設計するために、鋼管集成橋脚に適した基礎構造形式として、1本の柱を1本の杭で支持するフーチングレスタイプの鋼管柱基礎形式を提案し、その耐震性能、構造成立性について大型振動台模型実験や土水連成弾塑性有限要素解析による検討を行っています。
