研究室の歴史

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当研究室は大正13年9月に開設された鉄道学第一講座からの流れを汲む研究室です。土木工学科の創設当初は、橋梁学、鉄道学第一、鉄道学第二、水工学第一、水工学第二、コンクリート工学、応用力学第二講座の7講座による構成でした。その創設当時より続く研究室の1つが、地盤環境解析学研究室です。

鉄道学第一講座の設置当初には古藤 猛哉 教授(大正13年10月〜昭和17年4月)が着任され、操車場の設計に関する研究、停車場の設計に関する研究を行われました。また、講座および大学の運営にも尽力されました。

真井 耕三 教授(昭和17年5月〜昭和39年3月)は、当講座の2代目の教授として地盤の凍上に関する研究、泥炭土の土質工学的研究および地すべりに関する研究に従事されました。特に、北海道内において鉄道路盤内の水分が凍結膨張することにより軌道が不規則に波打ち列車の運行を妨げる現象や、泥炭地を通過する鉄道、道路、河川堤防が際限なく沈下する現象が見られたことにより、その対策を講じるための研究を進められたということです。

昭和38年より、土系講座が2つ(交通線路工学講座と土質工学講座(現:地盤物性学研究室))になりました。これは、砂・砂質土と粘土・粘性土の違いによってその力学特性が大きく異なること、フィールドにおいても砂質土と粘性土のような土質の違いで発生する災害パターンおよび対策手法が全く異なるということもあり、土系講座を増強し北海道または世界中で生じる地盤災害に幅広く対応できる研究を生み出す体制が整えられました。

そのような時代背景の中で、北郷 繁 教授(土質工学講座教授)は昭和42年4月〜昭和51年5月まで交通線路工学講座の教授も兼任され、研究活動および講座の運営業務に取り組まれました。この期間には、交通線路工学講座と土質工学講座の2つの講座が密接に関連しながら、粘性土の強度特性に関する研究、砂質土の強度特性に関する研究、道産特殊土の土質工学的特性に関する研究に従事されました。精密な土質試験装置を多数揃え、世界的にも通用する多くの研究成果が生み出されました。また、土質工学、地盤工学に携わる多くの研究者や実務者が輩出されてきました。

北郷教授の後に、土岐 祥介 教授(昭和51年6月〜平成9年3月)は、砂地盤の変形強度特性、地盤の液状化現象のメカニズムおよび地盤・土構造物の液状化危険度評価法に関する研究に従事されました。昭和39年(1964年)新潟地震および昭和43年(1968年)十勝沖地震などでは、砂質地盤の液状化現象が発生し、住宅、公共施設の破損変形、鉄道軌道の変形、ライフライン破断などの甚大な被害が見られました。そのような現象の対策を講じるために、要素試験等の実施により砂の液状化現象のメカニズム解明に尽力されました。なお、先生は平成25年11月に瑞宝中綬章の叙勲を受けられました。

三浦 清一 教授(平成10年8月〜平成24年3月、平成24年4月〜平成25年3月は特任教授)は、主として火山灰粗粒土の力学特性に関する研究、波浪場にある構造物・地盤系の動的力学特性に関する研究、凍結融解履歴を受ける地盤の力学特性に関する研究に従事されました。特に、実務および設計手法に反映されてこなかった火山灰質土の土粒子破砕特性に着目し、破砕量の多少で火山灰土の静的および動的力学特性がどのように変化するのかを定量評価すること等について研究が行われました。さらに、北海道内において凍結融解作用を新たに受けた地盤の変形・崩壊挙動が多くなってきた現状を踏まえて、凍結融解履歴を受ける火山灰粗粒土の強度低下メカニズムの解明にも取り組まれました。その研究成果により、多数の受賞をされております。

現在は石川 達也 教授(平成25年10月〜)が、当研究室の研究活動および研究室運営に尽力されております。粒状地盤材料の繰返し変形特性、不飽和条件下の各種地盤材料の力学特性の詳細分析研究、凍上および凍結融解による地盤挙動変化の解明等、幅広い研究テーマに従事されております。

講座・研究室の沿革

講座・分野・研究室名 教授名 土質工学・地盤物性学関連
鉄道学第一講座
1924年(大正13年)9月
交通工学第一講座
1955年(昭和30年)7月
交通線路工学講座
1963年(昭和38年)4月
基礎地盤工学講座
1977年(昭和52年)4月
地盤解析学分野
1997年(平成9年)4月
地盤環境解析学研究室
2005年(平成17年)4月〜
古藤 猛哉 教授
大正13年10月〜昭和17年4月
真井 耕像 教授
昭和17年5月〜昭和39年3月
北郷 繁 教授
(土質工学講座と兼任)
昭和42年4月〜昭和51年5月
土岐 祥介 教授
昭和51年6月〜平成9年3月
三浦 清一 教授
平成10年8月〜平成25年3月
石川 達也 教授
平成25年10月〜
土質工学講座
1964年(昭和39年)4月
地盤物性学分野
1997年(平成9年)4月
地盤物性学研究室
2005年(平成17年)4月