特集2 ーこれがわたしの研究室ー

大学院生活って? 研究内容や研究室の雰囲気はどんな様子?
3人の大学院生に、それぞれの研究室を紹介してもらいました。

REPORTER 1

佐藤 諭佳

北方圏環境政策工学専攻
構造システム研究室
修士課程1年

佐藤 諭佳 Yuka Sato

[PROFILE]
◎出身地/北海道札幌市
◎趣味/料理、語学

REPORT1 まずはそれぞれ研究テーマを紹介
生物形態模倣の構造力学的アプローチ

 生物の形や特徴を構造力学的に見るとどのようなメリットがあるのか、これが私の研究テーマです。身近な生物を工学の観点から捉えることに興味を持ってこのテーマを選び、現在は主に「竹」を研究しています。竹は高い強度と柔軟性を併せ持つ中空円筒の植物ですが、実は中空円筒は外力による曲げを受けやすい構造であり、「節」を随所に配置することで強度を保っていると考えられます。このように、生物の特徴を工学に応用することを目的としています。


▲ 山林での竹の調査

REPORT2 具体的にはこんな研究をする日々です
竹に学ぶ円筒構造の最適な曲げ抵抗メカニズム

 竹は節によって中空円筒構造の強度を高めつつその柔軟性を保っています。実際に測定して集めたデータから、節の間隔は根元から先端にかけて一定ではなく、根元と先端では節の間隔が狭く、中間部では広くなることが分かりました。この結果から、節はその部位にかかる荷重を考慮して配置されていると考えられます。さらに竹の断面をみると、維管束鞘の分布が内側で少なく外側で多いという傾斜分布をとっていることがわかります。この傾斜分布も竹の強度に関係すると考え、一定分布と傾斜分布での比較を行っています。


▲ 竹の断面

REPORT3 実用化の可能性など研究がめざすもの
長年の進化を経て最適化された生物の構造に学ぶ

 生物がもつ特徴的な構造は、長い年月の進化を経て最適化されたものです。それらの構造から工学に活かせるヒントを見つけていきたいと考えています。蚊の針にヒントを得た痛くない注射針や、クモの糸を応用した高強度の新素材など、生物の形態を模倣した新技術が注目されてきています。このように、工学に活かすことのできる生物の形態を探し、掘り下げていきたいと考えています。


▲ バイオミメティクスとは

REPORT4 研究室の外ではこんなワタシです
ほかの国を知るきっかけを得られる環境

 私が所属している土木系のコースでは、海外に行くチャンスが多く、また留学生も多数受け入れており、大変国際色豊かです。現在、私の研究室にはアラスカから2名、タイから1名の留学生が在籍しており、学校生活を共にしています。私自身も、土木系コースに分属されてから、韓国での3か月の留学と、アラスカでの2週間の研修に参加させていただきました。海外に行ってみたいという気持ちさえあれば挑戦できる環境はとてもありがたいです。


▲ アラスカで見たオーロラ

Schedule during a day ■ ある一日のスケジュール

  • 佐藤 諭佳REPORTER 1
    北方圏環境政策工学専攻
    構造システム研究室
    修士課程1年
    佐藤 諭佳 Yuka Sato
  • 榊 祥太REPORTER 2
    量子理工学専攻
    プラズマ物理工学研究室
    修士課程2年
    榊 祥太
  • 小島 遼人REPORTER 3
    総合化学院 総合化学専攻
    有機元素化学研究室
    博士後期課程1年
    小島 遼人