大学院生特集1

Four Lives 03

藤本 修平

エネルギー環境システム専攻
流動場システム工学研究室
博士後期課程2年

藤本 修平 Shuhei Fujimoto

[PROFILE]
◎出身地/福島県福島市
◎趣味/読書

研究編
水と油の境界面にできる波
前例のない研究です

実験の様子
実験の様子
 私は流体力学を専攻しています。流体力学は水や空気などの流れるもの(流体)の運動を、力学を使って研究する学問です。“水は方円の器に随う”ということわざもあるように、流体は自由に変形することができます。こうした自由度を持った水や空気の流れは、時として予想のつかない動きを見せることがあります。私が現在研究しているのもそのような意外な現象のひとつです。私の研究テーマは、水と油を円形の容器の中に入れ、急回転させた時に生じる流れです。油と水は混じり合わないので、これら2種類の流体はくっきりと2つの層に分かれ、軽い油が水の上に位置します。ここに回転を加えると、水と油の境界面の中心が大きく盛り上がります(図1)。通常、水などを容器に入れて回転させた場合、中心がへこむのですが、この場合は逆に中心部が隆起するのです。また、これを注意深く観察すると、盛り上がった境界面に波が発生しているのが分かります。私は現在この波について研究しています。境界面の盛り上がりについては過去に数件の研究がありますが、波についてはほとんど見当たらず、未だに解らないことが多い現象です。
 この流れに関連すると思われる分野は多岐にわたります。例えば、タンカーの座礁による海上原油流失事故が考えられます。タンカーから原油が漏れ出したとき、海の波により海水と原油が混ざり合って、どろどろの物質ができ、回収が困難になります。この混合の機構は未だに分かっていません。私の研究が、そのような原油と海水の混合機構を解くヒントになると良いと考えています。また、見た目に趣深い現象でもあるので、観賞用のインテリアや玩具などができないかとも考えています。この現象はペットボトルの中に水道水とサラダオイルを半々に入れて回転させると簡単に再現できます。水に絵具や食紅で色をつけるとなかなか綺麗です。

研究室にて
研究室にて
図1 円形の容器に水(緑に着色)と油を入れ、回転させたところ
図1 円形の容器に水(緑に着色)
   と油を入れ、回転させたところ
円筒容器の上から観察
円筒容器の上から観察

生活編
アメリカ物理学会で
「ことば」の大切さを実感

 私は、平成18年11月にアメリカ物理学会の流体力学部門年会で研究発表をしました。場所はフロリダ州のタンパという都市で、暖かくて気候の良いところでした。私は英語があまり得意ではないので、発表の準備にはかなり時間がかかりました。発表当日も朝早くに起き、ホテルで一人、発表の練習をしました。そのおかげで発表本番では大きな失敗もなく、なんとか無事に終えることができました。発表の翌日、自分の研究に関連する分野の発表を聴いていたところ、海外の研究者の方に声をかけられ、私の発表した内容について詳しく話を聞きたいと言われました。その方のグループでは、私のテーマに近い内容を全く別のアプローチで研究されており、お話を聞いて非常に勉強になりました。残念だったのは、英語が思うように話せず、自分の伝えたいことをうまく伝えられなかったことです。この経験を通じて英会話の重要性を認識させられました。

学会会場のホテル
学会会場のホテル

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新入生の皆さんへ 専門科目はもちろん重要ですが、数学や物理あるいは英会話やプログラミング等の基礎的なところをしっかりと勉強して、ある程度“潰しがきく”ようにしておくと良いと思います。
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