特集 05
子育て
工学研究院建築都市空間デザイン部門 建築計画学研究室
准教授
野村 理恵
野村先生の裏の顔
キャンパスはワンダーランド
大きくなーれ!大きくなーれ!工学部噴水前で聞こえてくる園児の声。ここに、4月から息子が加わった。広大なキャンパスで散歩できる学内の保育園に入園することができたのは幸運だった。連絡帳には、毎日どこへ散歩にいったのかが記されている。弓道場脇、サクシュコトニ川沿いの小径は「おばけの森」と表現されており、実際に歩いてみると、確かに大小の樹種が折り重なってひんやりしている。大野池にオシドリの親子が泳いでいることも初めて知った。
子育ては想像以上に激務であり、産休・育休を経て「“復帰”しました」ではなく、「“変異”しました」といいたいほどで、私自身が別の生命体になった気分である。長年続けてきたモンゴルなど国内外へのフィールド調査も行えず、研究意欲は爆発寸前。そんなときは、キャンパスを子どもたちの目線で散歩してみると、職場ではなく、ワンダーランドにみえてくる。行き詰まったときは視点を変えてみる。研究も同じで、今は身近な課題に新たな見方で向き合う時期なのだ。数年後、息子を連れてモンゴル草原にいくことを夢見ながら、ハイハイの練習と原稿執筆に勤しむ夏休みである。