特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.421 2020年01月号

大学教員の「表の顔」と「裏の顔」

特集 01

福島廃炉事業頑張ってます。
理事のサポート&産学連携の戦略担当も大変 Take it easy! Decommissioning of the Fukushima-Daiichi Nuclear Reactors.
Additionally, a soldier of the regent and a strategic expert for academic-industrial alliance are my business.

研究・開発はつねに事業化を念頭に!

工学研究院量子理工学部門 量子ビーム材料工学研究室
准教授
金子 純一
総長補佐/産学・地域協働推進機構 副機構長

[PROFILE]

出身高校
茨城県立竹園高等学校
研究分野
放射線計測学、結晶工学、半導体工学
研究テーマ
ダイヤモンド放射線検出器の開発、
ダイヤモンド半導体デバイスの開発、
TlBr半導体検出器の開発 他

放射線計測機器の開発で
国家プロジェクトに参画

私が研究室で大切にしていることは研究から産業化までを一気通貫するMOT(技術経営)の実践です。「材料を制する者は市場を制する」をモットーに、垂直統合的に放射線計測関連機器を開発し、原子力業界では「ダイヤモンドの金子さん」で通っています。現在は耐放射線性ダイヤモンド半導体デバイス開発を産業技術総合研究所、物質・材料研究機構と進めており、日立製作所の協力も得て300℃以上で動作する放射線計測装置の開発を国家プロジェクトで行っています。

地下の石油探索に使われる希土類酸化物シンチレータの開発も10年以上続けました。私は結晶工学の体系的知識が無い上に「死ぬ時はどぶの中でも前のめり」が座右の銘なのでプロは絶対にやらない事を時々やり、たまに当たります。開発した単結晶シンチレータは企業への技術移転が完了し、市販化されています。

また福島第一原子力発電所廃炉事業で使われるα線ダストモニタ等への関連技術の適用も進んでいます。長引く廃炉対策の力になりたいという思いです。日本原子力研究開発機構・廃炉国際共同研究センターのグループリーダーも務め、若手の指導やプロジェクトメーキングに取り組んでいます。

起業家育成も大事な役目
50人と進める産学連携

研究・開発はつねに事業化を念頭に行っています。学内では文部科学省のアントレプレナー育成事業EdgeNextの一環として、ビジネス基礎Ⅰ・Ⅱ、ビジネスゲーム演習、企業課題解決演習を大学院共通科目として開講しています。学生が社会で必要となる知識と実践力も身に付く貴重な機会と自負しています。

国家プロジェクトの研究代表者3回の実績と小樽商科大学のビジネススクールに通って取得したMBA、企業・地方自治体関係者との人脈を大学にも評価してもらっているからでしょうか、研究担当理事のサポート役(切り込み隊長とも言う)である総長補佐、さらに北大の産学連携を司る産学・地域協働推進機構副機構長として50人以上のスタッフに囲まれ産学連携の戦略立案・調整に追われる日々です。趣味の時間は不思議とつくれるもの。趣味でリフレッシュしてまた次の日から研究・教育に頑張る。その繰り返しです。

図1 研究総長賞を最初に頂いた時の記念写真
(賞金は貢献した学生・スタッフにおいしいお寿司で還元しました) Figure 1 : Commemorative photo taken when I wined the presidential prize for research for the first time. Contributed students and stuffs enjoyed delicious sushi by the premium.
図2 産学・地域協働推進機構のみなさんと
(歓迎会で酔っぱらってます) Figure 2 : Photo taken with staffs of Institute for the Promotion of Business-Regional Collaboration (Let’s tie one on!).

金子先生の裏の顔
狩猟

無音で挑む集中と開放の瞬間!
無事に帰るまでがハンティング

冬場、鉄砲を担いで山に入る。漫画「山賊ダイアリー」を読んで始めた。人生こんなもんである。雪が降った後クランポン(アイゼン)を履いて、シカの足跡を追って山に入る。シカのいる場所や動きを予測しながら音を立てず、いかににじり寄れるかで勝負が決まる。昔は血を見ると卒倒していたが、慣れてしまえば解体もお手のもの。幸せな食生活を送っている動物が一番おいしい。

-20℃の山中で行動する時は、凍結を防ぐため握り飯と携帯は体に付けておく。凍ったあと溶けたおにぎりは劇的にまずい。銃口に雪がついていると、発砲後、水滴となって銃が凍結し銃身の破損を起こすので予防措置に気を遣う。実験と同じ。着弾のばらつきが原子核反応の共鳴現象同様にローレンツ分布に従う事には感動した(大学の先生ぽい!)。JAFも呼べない雪深い林道に入り、自力で戻ってくるため、デフロック付きランドクルーザー70を合法的にリフトアップして乗っている。

ヒグマも食べ物(熊は3年に一度程度しかとれない。この後、猟仲間とイオマンテで美味しくいただいた。次は掛布団になるサイズを獲りたい。) Bear is food. (A chance for hunting a bear is only once in three hunting seasons. After taking this picture, my hunter friends and I carried out the IOMANTE ceremony and ate the delicious bear. In the next time, I want to take a larger bear for fur futon.)
果樹園を荒らし回ったカラスも素敵な料理に(有害鳥獣駆除で獲ったカラス。獲物が何を食べているかで味は決まる。果樹園カラスは美味しい。街中のカラスは当然NG。) Finally, a crow who turned over a fruit farm was cooked on a dish. (The craw was hunted based on pest control. Their taste is strongly influenced by their food situation. Crows living in fruit farms are delicious, but crows living in city are not edible.)

長男と自転車で北海道一周旅行

自転車は10年以上前に東急ハンズで赤い素敵な自転車に一目ぼれして始まった。長男が生まれ、キャンピングトレーラーと組み合わせて北海道一周を思い立ったことがきっかけ。ビジネススクール通いと飲みすぎで中性脂肪がなかなか素晴らしい値になっていたので、良いダイエットとなった。その後、自転車乗車中に巻き込み事故に遭い、背骨3か所を骨折したが、リハビリを自転車でやって周囲を呆れさせた。

道内の道の駅をまわるスタンプラリーは現在4周目。当時小学6年生の長男と北海道の外周(2400km強)を1周したことは自慢。狩猟が「集中」なら、自転車は「考え事」。どちらも大事で欠かせない。

雨の知床峠にて(8月にも関わらず気温10℃。波打ち際から738mの知床峠まで運動不足のため2時間かかったがノンストップで登りきれた。自転車はダレたおじさんの心と体に強烈なスパナを入れてくれる。) At the Shiretoko pass in raining. It was 10 ℃ even in August. From seashore to the Shiretoko pass at 738 m, although it took two hours, I could bike up without any break. Cycling exercise is clamping up retread spirit and body of an old man.