特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.418 2019年04月号

外の世界とつながろう

特集 03

北海道でロケット開発に挑戦! Taking on rocket development in Japan Hokkaido.

北大を選んで本当によかった
研究キャリアも視野も広がりました

機械宇宙工学専攻 宇宙環境システム工学研究室 博士後期課程2年
ケンプス ランドン トマス

[PROFILE]

出身高校
Kenmore West Senior High School, USA
研究分野
ハイブリッドロケット推進
研究テーマ
ハイブリッドロケットにおける黒鉛ノズル浸食の機構解明

全国から注目を集める
宇宙開発先進地、北海道

もし、止められない力が動かない壁にぶつかったらどうなるのか?これは子供のころ友人たちと話したなぞなぞの1つでした。大学院生になった今、私はそれに似た研究テーマに取り組んでいます。それはハイブリッドロケット開発の過程で、3000℃を超える超音速ガスの流れが高密度黒鉛ノズルを通過するときに何が起こるか?というものです。シンプルにいうと燃えづらいノズルの開発で、何回もの実験を通して実現するための手がかりをつかんでいます。

現在所属している永田晴紀先生の研究室のことは、ニューヨーク州立大学バッファロー校在学中に興味があった日本で宇宙工学に強い大学を調べているうちにたどりつきました。本研究室はシンプルで安全かつ強力なハイブリッドロケットの基礎を構築し、そのため北海道は宇宙開発先進地として全国から注目を集めています。研究室が連携している植松電機の植松努社長と永田先生の信頼関係を見ていると、ロケット研究だけでなく人として大事なことも学ぶことができました。

また、初めて日本の教育を受け、その親切なメンターシップにも非常に驚きました。経験豊富なメンバーが実験方法を丁寧に指導してくれたり、学会活動を応援してくれたりと、右も左も分からない私を一人前の研究者に育ててくれました。こういう北大だったからこそ、予定していた修士課程を修了後、さらに博士後期課程に進みたいという気持ちがわいてきたのだと思います。

図1 北大でのハイブリッドロケット燃焼実験の様子 Figure 1 : A Hybrid rocket combustion test at Hokkaido University.

異なった考えを吸収できる
e3プログラムで人脈づくり

英語のみで授業を行うEnglish Engineering Education(e3)プログラムは、誰も知らない北海道での人脈作りに、欠かせないものでした。日本人学生と世界各国から集まった学生とで社会問題や工学問題に取り組むほか、僕たち学生が企画するさまざまなイベントもありました。異なった考えを持つ人々と接し、話し合うことで視野が広がり、自身の研究活動や私生活に対する考え方にも変化をもたらしてくれました。北海道の皆さんはいい人ばかりで、感謝の気持ちでいっぱいです。

図2 研究室とe3の仲間 Figure 2 : e3 Labmates