特集 02
レアメタル資源の宝庫アフリカ~資源開発に関する国際共同研究~ Research collaboration for development of rare metals resources in Africa
地球資源が眠る現地を五感で調査
フィールドに行くたびに発見の連続です!
環境循環システム部門 環境地質学研究室 准教授
大竹 翼
日本にとって欠かせない
レアメタル資源の確保に向けて
我々の生活に欠かせない金属・エネルギー・鉱物資源などは、太古から続く地球の営みの中で形成され「地球資源」とも呼ばれます。その中でも存在度が低い、または偏在しているなどの理由で国が戦略的に確保すべき金属資源のことをレアメタルと呼びます。レアメタルは触媒や合金などに用いられ最先端技術を支えていることから、日本にとってレアメタルの安定的確保は重要な課題といえます。近年、JICAでは開発途上国の鉱業開発支援に貢献するために「資源の絆プログラム」を立ち上げ、行政官や研究者の日本への留学を支援しています。我々の研究室でもモザンビーク、マラウイ、ザンビア、南アフリカなどアフリカ諸国からの留学生を受け入れ、現地の大学および研究機関と連携して、現地のレアメタル鉱床について研究を行っています。特に南アフリカはプラチナやクロムなどのレアメタルにおいて世界生産量の50%以上を占めるなど、重要なレアメタル資源生産国となっており、日本企業も開発に乗り出しています。
資源地質学の入口は
フィールドワーク
鉱床の研究は、鉱床学や資源地質学と呼ばれ、地学の仲間です。地球資源がどこに、どのような状態で地表や地下に存在するのかを明らかにするもので、これが分からないと、その鉱床が経済的に開発可能か、また新しい鉱床を見つけようとした時にどこを探査したらいいのかもわかりません。探査が進んでいくとボーリングなどによって地下の岩石を採取しますが、まずは地表を歩き回って地下の地質構造を推定するフィールドワークが重要です。アフリカのように遠くても必ず現地に行って調査する必要があります(図1)。
アフリカの大地で目の前の岩石と向き合いながら、地下に眠るレアメタル資源や資源を含む岩石が形成された数百万年前、時には数十億年前の時代に思いを馳せると、絶え間ない地球の鼓動や進化を感じることができます。フィールドワークの後は、現地で採取してきた岩石試料の顕微鏡観察や最先端の化学分析によって、フィールドで考えた仮説を証明していきます(図2)。
Technical
term
- 鉱床
- 資源が濃集している場所。地形や地表の様子(色、植生など)を手がかりにあたりをつけて、ボーリング作業に進む。