特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.430 2022年12月号

異分野融合にみる工学の多様性と可能性

ダイバーシティの重要性が謳われる現代社会において、工学のあり方もどんどんと多様になってきています。

アメリカの科学哲学者トーマス・クーンは著書『科学革命の構造』で、
既存のパラダイムでは解決不可能な変則事例が見つかり処理できなくなったとき、
その混乱の中から新たなパラダイムが生まれる(科学革命)、と述べています。
様々な社会問題が噴出する現在は、まさにその渦中と言えるかもしれません。

こうした状況に対応するためには、物事の原点に立ち返るようなシンプルなヴィジョンと、
多様な専門知識の柔軟な融合が求められます。そしてそうした研究には、切迫した側面を持ちながらも、
フロンティア精神と知的好奇心にあふれた魅力的なプロセスが待ち受けています。

今号では、専門性の手前にある明快な動機からはじまりながら、
総合大学である北大のポテンシャルを活かして各専門性の突端にある知識や技術を融合し、
複雑多岐な世界を切り拓いていく先生方の実践をご覧いただきます。
多様な工学の一端を知り、その可能性、
すなわちテクノロジーが社会的価値へと変換していく場面を皆さんと共有できればと思います。

コーディネーター 松島 潤平(建築都市部門 准教授)