特集 01
AI・自動運転と共生する社会変革を支える技術 Supporting technologies for transformation of society to cohabit with AI/autonomous vehicle
車移動が多い北海道から
社会実装に向けてチャレンジ!
土木工学部門 先端モビリティ工学研究室
准教授
髙橋 翔
AIや自動運転車両の隣に立つその準備はできていますか?
「AI」や「自動運転」などの新しい技術により私たちの生活様式が変わっていくことが、近年、頻繁に話題に挙がるようになってきました。これらの新技術の隣に私たちが安心して立つことができるよう、世界中で日々研究されています。では実際に、AIを搭載するアンドロイドや自動運転車両が私たちのすぐ近くにいることを想像してみるとどうでしょうか?勝手に動き回るキカイの次の動きが想像できるでしょうか?また、これまでに私たちが築き上げてきた社会システムは、それらを受け入れられるように設計されているでしょうか?
人間とキカイの双方がストレスなく共存できる社会を実現するには、AIや自動運転の性能を向上させるだけでなく、私たち人間側の理解や知識も深めていくことが大切です。特に自動車は扱いを誤ると人命に関わるため、車両に限らず道路に関しても新しい仕組みづくりが必要になってきます。
高速道路や雪道での自動運転の挙動を追う
私が2018年に着任した先端モビリティ工学研究室では、交通工学のサイバーフィジカルシステムに関するデータ解析技術とそれらの社会実装に向けた方法論についての研究を進めています。広大な北海道は移動に自動車が欠かせず、かつ冬場の路面状況を考えると他地域よりも高度な運転スキルが求められる地域です。その北海道から自動運転の社会実装を目指した研究は学際的な異分野連携にもつながり、非常に意義のあるチャレンジだと考えています。
例えば、図1は複雑な運転操作が必要な高速道路の合流点に仮想の仕切りを設けたシミュレーション画面です。将来的な混雑緩和やAIによる運転を視野に入れつつ、どういう状況ならばスムーズに合流できるかを探っています。また、図2は運転支援システムを搭載した車両を雪道で走らせ、ハンドルを握る運転者が思わずブレーキを踏んでしまいたくなるような、不安が高まる自動運転車両の挙動を調べる実験風景です。これらの研究成果をAIや自動運転車とのコミュニケーションにつなげ、私たちがAI・自動運転と共生できる新しい社会への変革を支えていきたいと考えています。
Technical
term
- サイバーフィジカルシステム
- 現実世界(フィジカル空間)から得られるデータをコンピュータ(サイバー空間)上で分析し、その結果をフィードバックすることで現実世界の最適な制御を実現するシステム。