特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.417 2019年01月号

低温の工学

地球温暖化が大きな話題となっているとはいえ、
冬真っ只中の北海道はやはり寒い日が続いています。
そこで本号では「低温」をキーワードとする
研究を取り上げました。
一言に「低温」と言っても絶対零度に近い極低温から
私たちが寒いと感じる寒冷地の冬の気温まで、
分野によって扱われる温度域は全く異なります。
工学では、それぞれの温度での
特有の現象を様々なスケールで取り扱い、
私たちの社会に役立てる研究が行われています。
寒い冬に温かいものでも飲みながら、
楽しんでいただけたらと思います。

TALK LOUNGE

低温から身を守り 低温を活用する

皆さんは「低温」や「寒い」からどんなことをイメージしますか?
《暗》《静》《死》・・・あまり良い言葉が出てきません。
寒冷地に住む私たちにとって「寒さ」は身近で危険な問題でもあります。
この特集では「寒さ」や「寒さ」に由来する現象を理解し、それらから身を守るための研究を紹介しています。

オランダの物理学者カマーリン・オネスは、今からおよそ100年前、絶対零度を目指して超電導を発見しました。
彼は初めから超伝導を目指していたわけではなく、低温における物理現象に純粋に興味を抱き、熱い思いで
極低温の研究に取り組んだのです。以来、低温に関する物理・化学・生物に関する研究は大きく広がりました。
この特集では、極低温下での超伝導や氷の潜熱など低温を積極的に活用する研究も紹介します。

本特集を通じて工学の懐の広さと研究者の熱い思いもぜひ感じ取ってください。

コーディネーター 谷 博文(工学研究院応用化学部門准教授)