2024年7月22日更新


同窓会コラム vol. 2
製造業と脱炭素に関する提言
 
 応用マテリアル工学コース同窓会の櫻井会長が製造業と脱炭素に関する提言をJapan 2 Earthに寄稿しました。ご覧いただければ幸いです。
 

外部リンク
何を信じてEV普及 日本の脱炭素へ進む道はこのままでよいのか(櫻井 雅昭)
 

2024年4月15日更新


黒川一哉先生を偲んで
 

 黒川一哉先生が2024年3月2日に71歳でご逝去されたことをお知らせするとともに、先生のご生前の業績を偲び、謹んで心より哀悼の意を表します。

 黒川一哉先生は1952年11月24日北海道に生まれ、北海道大学工学部原子工学科を卒業後、さらに学士入学で工学部金属工学科へ進学・卒業し、北海道大学大学院工学研究科金属工学専攻博士課程に進学,1983年に修了し、工学博士の学位を取得されました。大学院修了後直ちに北海道大学工学部附属金属化学研究施設高温化学部門の助手になり、1991年に助教授に昇任し、1994年北海道大学大学院工学研究科分子化学専攻助教授の配置転換し、2003年に北海道大学エネルギー先端工学研究センター教授に昇任されました。その間の1991年から1年間米国ペンシルベニア大学で博士研究員として研究に従事されております。2004年には、北海道大学エネルギー変換マテリアル研究センターに配置転換し、2006年からエネルギー変換マテリアル研究センター長を4年間務められました。その後、2010年に北海道大学大学院工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センターに配置転換され、2014年3月に退職されました。退職後直ちに独立行政法人高等専門学校機構苫小牧工業高等専門学校の校長を務められ、校長在任期間中の2015年4月に北海道大学名誉教授になられました。
 
 黒川先生は、北海道大学の在任31年間において研究・教育に力を注がれ、シリサイド、金属間化合物や鉄鋼材料などの高温酸化・高温腐食に関して先駆的・独創的な研究を進められました。特に、複合ガス雰囲気における金属材料の高温腐食、シリカ皮膜形成材料の超高温酸化特性や耐高温腐食特性、鉄鋼材料熱間圧延時における高温酸化、金属とセラミックスの高温反応や接合、難焼結性材料の焼結特性に関する研究などが代表的な研究となります。これらの研究を通じて、100人余りにおよぶ有能な人材を社会に送り出されました。
 
 黒川先生は、このような研究活動や研究成果に対し1983年に腐食防食学会論文賞、2006年応用プラズマ科学会論文賞、2010年日本工学教育協会著作賞、2011年日本金属学会第9回学術貢献賞、2012年経済産業省ものづくり地域貢献賞、2013年火力原子力発電技術協会論文賞、2016年腐食防食学会貢献賞と技術賞、2018年腐食防食学会功績賞を受賞されました。学会活動においては、日本金属学会理事、腐食防食学会理事、腐食防食学会北海道支部長、表面技術協会理事、表面技術協会北海道支部長、高温学会評議員などを歴任されており、2014年函館で開催された高温酸化・高温腐食国際シンポジウム2014(ISHOC2014)で実行委員長として指揮を執られました。
 
 以上のように先生は、研究と教育を通じて優れた業績を挙げられるとともに多くの人材を育て、日本の学術研究、特に材料の高温酸化・高温腐食分野の学術的発展に多大な貢献を果たして来られました。また、温和でいつもにこにこしながら様々なことを語っていただいたことが印象的です。先生の業績とお人柄をしのび、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

2024年3月1日更新


同窓会コラム vol. 1
2023年度北大応用マテリアル工学コース同窓会 総会・懇親会に寄せて

同窓会会長 櫻井 雅昭
 
 久しぶりの同窓会総会・懇親会のリアル開催に際し、皆様へのご挨拶を兼ねて私の近況報告をします。
 
まずは自己紹介ですが、神奈川県立希望が丘高校を卒業、1年浪人して昭和50年(1975) 北大理類へ入学、教養で2年留年して工学部金属工学科へ移行、昭和56年(1981)卒業、日本鋼管へ入社、福山製鉄所製銑部配属、以後一貫して製銑部門に勤務、途中平成7年(1995)7月より平成12年(2000)6月までの5年間、米国ナショナルスチール(現USスチールデトロイト)に出向、川崎製鉄との統合時(2003年4月)は西日本製鉄所福山地区製銑部技術室長、平成19年(2007)4月、京浜地区製銑部長として生まれ故郷の神奈川県へ戻る。平成24年(2012)より本社で製銑技術部長を2年勤め、平成26年(2014)4月よりJFEエンジニアリングの子会社のJFE環境(現J&T環境)の社長、平成31年(2019)1月、JFEエンジニアリングに技監として採用され、技術本部総合研究所所長として勤め令和3年(2021)3月末退職、新たな人生を歩み始めました。
 同期の山下 徹氏の計らいで、JFEスチール時代の事を平成25年(2013)と平成27年(2015)に北大工学部院生に「How to enjoy an engineering life」-製銑技術の進歩と共に-と題し講演しました。当時の方々のご記憶に残っているかわかりませんが。
 
 北大時代は教養部4年の間、体育会本部に所属、副委員長(競技部長)として、七帝戦、樽商戦、東北戦の開催・運営の裏方や、銭箱駅伝、学内レガッタ、スキーバス運行、今はなき札幌厚生年金会館ホールでの太田裕美コンサートの開催・運営などが思い出です。
 金属工学科に移行して、卒業論文は第二講座の近藤先生、石井先生、佐藤技官、山口英良氏にご指導いただきました。卒論は「計算機制御によるペレットの還元過程」で黒鉛坩堝に入れた鉄鉱石ペレットを、CPUで温度とガス組成を制御しながら、ペレットの状態をX線で観測するというものでした。その後この装置は「ガス組成自動追従型高温性状試験装置の試作」さらに「高炉内反応シミュレーターの開発」につながっていきました。
 
 JFEエンジニアリングを退職後、何らかの形で社会貢献をしたいとの思いから、現在は、ツネイシホールディングスの環境部門の事業会社であるツネイシカムテックス(株)の社外取締役、大谷清運(株)の常務執行役員、(株)サナースの営業部顧問として中小企業の事業運営に携わるとともに、海外向けウェブサイト「Japan 2 Earth」のアドバイザー、田中眞奈子氏(東京藝術大学 大学院美術研究科 准教授)が主宰する鉄鋼協会フォーラム「鉄文化財にみる日本の独自技術の学際的研究フォーラム」の運営委員をしています。
 
 近況報告として大谷清運(株)での仕事の一部をご紹介します。
 
 大谷清運(株)は東京都の一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬やプラスチックリサイクル等中間処理事業を生業にしています。プラのリサイクルで至近の課題はリチウムイオン電池(Lib)による火災です。一般の方々にはわかりにくい問題ですが、電子タバコやモバイルバッテリーなどの製品に含まれるバッテリーの廃棄がルール通りなされず、一般家庭から出されるプラごみの中に一緒に回収され、プラスチックリサイクラーの工場で火災発生ということが社会問題化しています。
 大谷清運においても令和2年(2020)5月15日にリチウムイオン電池(Lib)による工場火災が発生し、大損害を被るとともに近隣住民にも多大な不安を与えました。これ以後、大谷清運の社長は自ら国会議員や関係省庁、関係自治体や業界団体に、Libの怖さや製造者による火災防止対策の実施を取るように働きかけてきましたが、根本的な解決策がなかなか進みませんでした。
 令和3年(2021)4月、大谷清運に縁あってお世話になることになったが、この社長の不満に対し、「自分で検知器を作れば」と言ったことがきっかけで、X線透過度とAIを用いたプラごみ袋の中からLibを検知する装置の開発を推進しました。火災発生日が5月15日、私の誕生日と同日ということで、これも何かの縁かなと感じています。
 皆さんがご家庭から出すプラごみの法制が変わり、今まで容器包装リサイクル法で決められたプラスチックの回収に合わせて、製品プラの自治体による回収が義務付けられるようになりました。自治体によっては容リプラと製品プラの混合回収をするところが出てきており、いままで以上にこの問題が深刻化する様相を呈しています。
 開発は順調に進み、2023年3月特許出願、国から補助金をもらい実証試験を行い、2024年4月以降自社で使用するとともに、「OSLiBソーター(TM)」として販売予定です。これで、大谷清運(株)や資源循環業界へ多少なりとも貢献できるのではと思っております。詳細は、いずれ大谷清運(株)のホームページに掲載しますのでご参照ください。
 

Photo 1 OSLibソーター
 
OSLiBソーター(TM):特許第7330453号、特願2023-049071
 
 

2024年1月22日更新


北海道大学工学部創立100周年記念事業とご寄附のお願い
 
 2024年9月、北海道大学工学部は創立100周年を迎えます。これを記念して、北大工学部ではさまざまな記念事業を企画するとともに、みなさまからのご寄附を受け付けております。詳しくは下記のリンクをご参照ください。みなさまの温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
 
北海道大学工学部 100周年記念事業およびご寄附に関するページはこちら。

 

2024年1月9日更新


北大応用マテリアル工学コース 2023年度同窓会総会・懇親会開催のご案内
 
令和6年1月吉日
 
北大応用マテリアル工学コース同窓生各位
旧・材料工学科、旧・金属工学科、
旧・冶金工学科、旧・生産冶金工学科 同窓生各位
 

北大応用マテリアル工学コース同窓会 会長 櫻井 雅昭

 
拝啓 同窓会会員各位におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 さて、標記の件、懇親会につきましては2019年度を最後に開催を中止しておりましたが、今年度は下記の要領で従来通り開催することといたしましたので、ご案内申し上げます。北大の最近の動向、会員皆様方の近況、今後の同窓会活動など語り合う楽しいひと時を過ごして頂ければ幸いです。多くの同窓生のご参加を期待しております。

敬具

 

 
日時:2024年(令和6年)3月14日(木)17時―19時
場所:ビアホールライオン 銀座七丁目店 6階クラシックホール
(〒104-0061 東京都中央区銀座7-9-20 TEL 03-3571-2590)
会費:6000円 (当日申し受けます)
 
申込期日:メールにて、2月22日(木)までに返信ください。
北大応用マテリアル同窓会メールアドレス:matealumniアットマークeng.hokudai.ac.jp(アットマークを@に変換してお送りください。以下同)
 
お問い合わせ:北大応用マテリアル同窓会学内幹事会(matealumniアットマークeng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究院 橋本直幸(hasimotoアットマークeng.hokudai.ac.jp)
 
PDFファイルのダウンロードはこちら

2023年2月18日更新


応用マテリアル工学コース80周年記念行事が開催されました
 

 
 

応用マテリアル工学コース80周年に寄せて

 

応用マテリアル工学コース同窓会会長 櫻井雅昭

 
 1942年(昭和17年)4月7日に生産冶金工学科が設置され、本年80周年を迎えましたこと、誠におめでとうございます。
 生産冶金工学科はその後、冶金工学科、金属工学科と名を変え、1994年(平成6年)には金属工学科と応用化学科、合成化学工学科との改組により材料工学科へ、その後の改変を経て、現在は、学部は「応用理工系学科応用マテリアル工学コース」、大学院は「大学院工学院材料科学専攻」と名を変えております。1958年(昭和33年)4月1日には付属金属化学研究施設が設置されましたが、1994年(平成6年)に廃止され、エネルギー先端工学研究センターを経て大学院工学研究院付属エネルギー・マテリアル融合領域研究センターとなっています。
 この間、「戦時下」「戦後復興期」「高度成長期」「第一次、第二次オイルショック」「日米貿易摩擦」「バブル崩壊」「新興国台頭」と時代は流れましたが、諸先輩方は産学の広い領域において国際的に、指導的・先導的役割を担い社会貢献を果たしてきました。特に鉄鋼業をはじめとする素材産業は、日本の戦後復興、高度成長を牽引してきました。私が1981年(昭和56年)鉄鋼会社へ入社した当時、鉄鋼業は「世界に冠たる・・・・」と謳い文句をつけて表現されており、胸を張れる地位を確立していました。
 一方、一個人として顧みるに、企業人として決して希望に満ちた日々ばかりでなく、挫折も味わいながら生きてきましたが、心のよりどころは、恩師の面影であり、同窓の先輩の存在や一緒に学んだ同期との思い出、そして寮歌「都ぞ弥生」「瓔珞磨く」、校歌「永遠(とこしえ)の幸」や「ストームの歌」でした。また、「高炉の還元剤比世界新記録」はじめ幾多の世界新記録樹立を目指したプロジェクトや「AIによる高炉操業管理・制御システム」「商用高炉の羽口炉芯観察・測定用ゾンデ」などの新技術開発、「酸素高炉プロセス」、「高炉へのプラスチック吹込み」や「フェロコークスプロセス」などの新プロセス開発において、同窓の上司の「波に乗るだけでなく、波を作れ」という働く姿勢を手本にしてきたこと、日米貿易摩擦の余韻が残るデトロイトへ駐在勤務に旅立つにあたり、恩師との京都鞍馬・貴船散策で激励を受けたことなど良き思い出です。
 さて、足元は日本経済の縮小、脱炭素・カーボンニュートラルへと向かい、素材産業である鉄鋼業や化学工業などが追い詰められている感がありますが、本コースにとっては業界並びに大学の地位向上に貢献する絶好の機会とも言えます。本コース出身の皆さんが、逆風こそ望むところととらえ、次の時代を先導し日本の明るい未来の構築に尽力されるとともに北海道大学の存在価値を高めること、また個人としても幸せ多き人生を歩むことを期待しております。
 なお、本コース出身の方々のご活躍を支援することを目的に、この機に「応用マテリアル工学コース同窓会ホームページ」を開設することになりました。ご尽力いただきました本学関係者の皆様に感謝申し上げます。このホームページを通じ、本学の皆様と卒業生との交流を図り、皆様のご意見・ご指導を受けながら、同窓会を知恵と勇気の湧き出る、癒しをもらえる場となるように作り上げたいと考えております。また、工学部応用理工系学科応用マテリアル工学コース並びに大学院工学院材料科学専攻のさらなる発展と、本コースにかかわる皆様のご活躍に貢献できるよう努めていきますので、よろしくお願い申し上げます。

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北海道大学工学部 応用マテリアル工学コース 80周年記念パンフレットのダウンロードはこちら(PDFファイル)
応用マテリアル工学コースに所属する11研究室の近況報告などがご覧いただけます。
 
 
 
 
 

応用マテリアル工学コース同窓会 あらがね賞


応用マテリアル工学コース卒業論文発表会において優れた卒業論文発表を行った学部4年生3名に、応用マテリアル工学コース同窓会より「あらがね賞」が授与されます。受賞者は新入同窓生歓迎会において発表され、表彰状と副賞が授与されます。

2023年度 応用マテリアル工学コース同窓会 あらがね賞

○阿部悠弥君(環境材料学研究室)

燃料電池反応を応用した電気化学的CO2分離法の研究

○坂井裕樹君(組織制御学研究室)

組織写真から固液界面物性値を予測する機械学習モデルの開発

○宮坂郁之祐君(マルチスケール機能集積研究室)

鋳造後直接焼入れした鋼の旧オーステナイト結晶粒微細化におけるNb添加効果

2022年度 応用マテリアル工学コース同窓会 あらがね賞

○大橋龍人君(環境材料学研究室)

高速AFM観察による電解ナノバブル形成の動的考察

○熊井宏樹君(光・熱エネルギー変換材料研究室)

水中結晶光合成によるナノ鉄化合物の選択的作製と形状制御

○佐藤衣吹さん(環境材料学研究室)

電解液循環を活用したPEM形水電解による重水素分離性能の調査

2021年度 応用マテリアル工学コース同窓会 あらがね賞

○阿部渓輔君(光・熱エネルギー変換材料研究室)

液相燃焼合成製MnドープSrTiO3光触媒の特性評価

○葛貫桃子さん(エコプロセス工学研究室)

金属電極とPTFEからなる水滴発電機の作製と高出力化

○坂牧知紘さん(マルチスケール機能集積研究室)

基板上に分散したPt原子拡散挙動のHAADF-STEM観察

応用マテリアル工学コース同窓会では、以下の活動を通して応用マテリアル工学コース・大学院材料科学専攻在校生に対する支援を行っています。
 
あらがね賞
学生の研究活動を奨励する一環として、優れた卒業論文発表を行った学生に対して表彰を行なっています。
 
新入同窓生歓迎会
同窓会へ入会する新入同窓生の歓迎会を開催しています。
 
コース講義への支援
材料科学基礎英語テキストや卒業論文・修士論文発表会要旨集など、応用マテリアル工学コース学生が受講する講義の支援を行なっています。
 
材料フォーラム開催
応用マテリアル工学コースおよび大学院材料科学専攻学生を対象とした就職セミナーを実施し、就職活動をサポートしています。フォーラムの開催にあたっては、卒業生が所属する企業数十社からのご支援をいただいています。
 
コース広報への支援
応用マテリアル工学コース・材料科学専攻の広報を支援することにより、高校生や学部1年生が応用マテリアル工学に興味をもってもらうための活動をサポートしています。