コラム
2025年3月26日更新
同窓会コラム vol. 4
リチウムイオン電池の再資源化
応用マテリアル工学コース同窓会の櫻井会長がリチウムイオン電池の再資源化に関する提言をJapan 2 Earthに寄稿しました。
外部リンク
リチウムイオン電池 この便利なツールを安全に使い続けるために(櫻井 雅昭)
2025年2月22日更新
同窓会コラム vol. 3
北大同窓の東京科学大名誉教授 塙 隆夫氏が医療機器に関する金属材料の科学的基礎と応用の全てが網羅されている、「Metallic Biomaterials -Metals for Medical Devices」を出版」

Metallic Biomaterials -Metals for Medical Devices
著者:Takao Hanawa(塙 隆夫)
CRC Press, Taylor & Francis Group, 2024年11月刊
ハードカバー ISBN: 978-1-032-41377-8 £120
eBook ISBN: 978-1-003-35782-7 £39.99
本書は、本同窓会員(金属39期)の塙隆夫氏(東京科学大学名誉教授)によって執筆されたもので、医療用インプラントとして多く利用されている金属バイオマテリアルの特性と利用に関して記載された成書となっている。日本人単著者による英文書籍である点だけでも希少である。本書は314ページで198点の図を掲載しており、内容も豊富であるために一気に全部を読み通すことは困難だが、必用な箇所の適切な情報を得る便覧としても有用である。本書は、我々のように材料工学の基礎的知識があれば、医学の知識がなくとも理解できるように構成されている点で秀でている。対象読者は、材料科学・工学を専攻する学生、大学院生、医療機器関連企業のエンジニア、医学・歯学の臨床医、官公庁・団体で医療機器の承認認証、研究費の配分を行うために知識を必要とする方々である。本書の特徴は次のとおりである。
・材料、システム、方法、理論などを誰が最初に発明または提案し、それがどのように発展し、現在どのように使用されているかの過程を明確にしている。
・金属材料のin vitroとin vivoにおける特性を重点的に解説している。機械的特性や表面特性の説明は一般的な説明にとどまらず、生体環境における現象を例に挙げて金属バイオマテリアルとして求められる特有の課題を明らかにするとともに、解決策についても包含している。
・本文で内容を補完し理解を深めるのに役立つ重要な教科書やレビューを総括している。
・金属材料の全体像が把握できるように、可能な限りASTMやISOで標準化されている材料の規格を示している。
・金属バイオマテリアルの弱点と臨床での課題について、例を挙げて詳しく説明している。
本書の構成は、Current Status of Metallic Biomaterials、General Property of Metals in Biological Environment、Evaluation Methods of Metallic Biomaterials、Medical Use of Metals、Degradation and Current Problem of Metallic Biomaterials、Titanium and Titanium alloys、Cobalt-Based Alloys、Stainless Steels、Other Metals and Functional Alloys、Surface Treatment and Surface Morphology、Specifications of Metallic Biomaterialsとなっている。医療機器に関する金属材料の科学的基礎と応用の全てが網羅されている。本書は、関連の大学・研究機関、企業、官公署・団体などに常備すべき一冊である。
北大応用マテリアル同窓会 会長 櫻井 雅昭
2024年7月22日更新
同窓会コラム vol. 2
製造業と脱炭素に関する提言
応用マテリアル工学コース同窓会の櫻井会長が製造業と脱炭素に関する提言をJapan 2 Earthに寄稿しました。ご覧いただければ幸いです。
外部リンク
何を信じてEV普及 日本の脱炭素へ進む道はこのままでよいのか(櫻井 雅昭)
2024年3月1日更新
同窓会コラム vol. 1
2023年度北大応用マテリアル工学コース同窓会 総会・懇親会に寄せて
同窓会会長 櫻井 雅昭
久しぶりの同窓会総会・懇親会のリアル開催に際し、皆様へのご挨拶を兼ねて私の近況報告をします。
まずは自己紹介ですが、神奈川県立希望が丘高校を卒業、1年浪人して昭和50年(1975) 北大理類へ入学、教養で2年留年して工学部金属工学科へ移行、昭和56年(1981)卒業、日本鋼管へ入社、福山製鉄所製銑部配属、以後一貫して製銑部門に勤務、途中平成7年(1995)7月より平成12年(2000)6月までの5年間、米国ナショナルスチール(現USスチールデトロイト)に出向、川崎製鉄との統合時(2003年4月)は西日本製鉄所福山地区製銑部技術室長、平成19年(2007)4月、京浜地区製銑部長として生まれ故郷の神奈川県へ戻る。平成24年(2012)より本社で製銑技術部長を2年勤め、平成26年(2014)4月よりJFEエンジニアリングの子会社のJFE環境(現J&T環境)の社長、平成31年(2019)1月、JFEエンジニアリングに技監として採用され、技術本部総合研究所所長として勤め令和3年(2021)3月末退職、新たな人生を歩み始めました。
同期の山下 徹氏の計らいで、JFEスチール時代の事を平成25年(2013)と平成27年(2015)に北大工学部院生に「How to enjoy an engineering life」-製銑技術の進歩と共に-と題し講演しました。当時の方々のご記憶に残っているかわかりませんが。
北大時代は教養部4年の間、体育会本部に所属、副委員長(競技部長)として、七帝戦、樽商戦、東北戦の開催・運営の裏方や、銭箱駅伝、学内レガッタ、スキーバス運行、今はなき札幌厚生年金会館ホールでの太田裕美コンサートの開催・運営などが思い出です。
金属工学科に移行して、卒業論文は第二講座の近藤先生、石井先生、佐藤技官、山口英良氏にご指導いただきました。卒論は「計算機制御によるペレットの還元過程」で黒鉛坩堝に入れた鉄鉱石ペレットを、CPUで温度とガス組成を制御しながら、ペレットの状態をX線で観測するというものでした。その後この装置は「ガス組成自動追従型高温性状試験装置の試作」さらに「高炉内反応シミュレーターの開発」につながっていきました。
JFEエンジニアリングを退職後、何らかの形で社会貢献をしたいとの思いから、現在は、ツネイシホールディングスの環境部門の事業会社であるツネイシカムテックス(株)の社外取締役、大谷清運(株)の常務執行役員、(株)サナースの営業部顧問として中小企業の事業運営に携わるとともに、海外向けウェブサイト「Japan 2 Earth」のアドバイザー、田中眞奈子氏(東京藝術大学 大学院美術研究科 准教授)が主宰する鉄鋼協会フォーラム「鉄文化財にみる日本の独自技術の学際的研究フォーラム」の運営委員をしています。
近況報告として大谷清運(株)での仕事の一部をご紹介します。
大谷清運(株)は東京都の一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬やプラスチックリサイクル等中間処理事業を生業にしています。プラのリサイクルで至近の課題はリチウムイオン電池(Lib)による火災です。一般の方々にはわかりにくい問題ですが、電子タバコやモバイルバッテリーなどの製品に含まれるバッテリーの廃棄がルール通りなされず、一般家庭から出されるプラごみの中に一緒に回収され、プラスチックリサイクラーの工場で火災発生ということが社会問題化しています。
大谷清運においても令和2年(2020)5月15日にリチウムイオン電池(Lib)による工場火災が発生し、大損害を被るとともに近隣住民にも多大な不安を与えました。これ以後、大谷清運の社長は自ら国会議員や関係省庁、関係自治体や業界団体に、Libの怖さや製造者による火災防止対策の実施を取るように働きかけてきましたが、根本的な解決策がなかなか進みませんでした。
令和3年(2021)4月、大谷清運に縁あってお世話になることになったが、この社長の不満に対し、「自分で検知器を作れば」と言ったことがきっかけで、X線透過度とAIを用いたプラごみ袋の中からLibを検知する装置の開発を推進しました。火災発生日が5月15日、私の誕生日と同日ということで、これも何かの縁かなと感じています。
皆さんがご家庭から出すプラごみの法制が変わり、今まで容器包装リサイクル法で決められたプラスチックの回収に合わせて、製品プラの自治体による回収が義務付けられるようになりました。自治体によっては容リプラと製品プラの混合回収をするところが出てきており、いままで以上にこの問題が深刻化する様相を呈しています。
開発は順調に進み、2023年3月特許出願、国から補助金をもらい実証試験を行い、2024年4月以降自社で使用するとともに、「OSLiBソーター(TM)」として販売予定です。これで、大谷清運(株)や資源循環業界へ多少なりとも貢献できるのではと思っております。詳細は、いずれ大谷清運(株)のホームページに掲載しますのでご参照ください。

Photo 1 OSLibソーター
OSLiBソーター(TM):特許第7330453号、特願2023-049071
応用マテリアル工学コース同窓会に関連するホームページへのリンク集です。
応用マテリアル工学コース
大学院材料科学専攻
北海道大学
北海道大学工学部
北海道大学大学院工学院/工学研究院
北大フロンティア基金
北海道大学校友会エルム
北海道大学東京同窓会
北海道大学関西同窓会
北海道大学ほっかいどう同窓会
北海道大学工学部同窓会