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多彩な面々による、
工学研究的フリートーク。

卒業生コラム 北大から世界へ

答えのない世界を探求する

ヤマヤアトリエ・代表
一級建築士 山谷 学

[PROFILE]

出身高校
北海道札幌北高等学校
2011年〜2012年
デンマーク王立芸術アカデミー建築学部留学(デンマーク政府給費奨学生)
2013年〜2014年
Tredje Natur(コペンハーゲン、デンマーク)
2015年
北海道大学大学院工学院修士課程修了
2015年〜2021年
安藤忠雄建築研究所
2021年〜
ヤマヤアトリエ主宰
2024年〜
北海道大学非常勤講師

私は建築設計を行っています。建築学科は日本では一般に理系学部に属しますが、技術的側面に加えて、人間の情緒的・文化的営みにも関わる特殊な分野です。私は特に芸術的側面への興味から、大学院在籍時、デンマークの芸術大学に交換留学し、現地のランドスケープデザイン事務所で働きました。その後、大阪の設計事務所を経て、現在は故郷の北海道で事務所を主宰し、規模の大小、新築改修を問わず設計に携わっています。

建築の良し悪しには明確な答えはなく、それを見る人や評価基準によっても変わります。そのため何を軸に据えて設計するかがとても大切です。また、建築は土地に定着すると、長らく多くの人々に何かしらの影響を与え続けます。何世紀も前に建てられた建造物が、私たちに強い感動を与えることもあります。技術は常に刷新され、新しいことが価値ですが、建築は新しいものが優れているとは限りません。建築する上で、時代の流れを読むと同時に、時代を越えても変わらない普遍的な価値の追求も必要です。

建築の創作には答えがありませんが、どこまでも探求できる奥深い世界です。みなさんも好奇心を大切に、物事を探求してください。

「Enghaveparken」デンマーク事務所でのプロジェクト。
歴史的な都市公園を雨水貯留施設としての機能をもった水害対策を兼ねた市民の憩いの場に転換。
築50年近くの戸建て住宅の耐震断熱改修。
2階の和室をなくして大きな吹き抜けをつくり空間の立体的な広がりを創出。
自然の移ろいを最大限に感じられるこの余白を中心に、生活が展開される。