工学部発のア・レ・コ・レ
やわらかな物質における秩序形成の原理と機能を探る
応用物理学部門ソフトマター工学研究室
助教 佐々木 裕司
高分子・液晶・コロイドなどのやわらかい物質はしばしばソフトマターと呼ばれます。これらの物質は力・温度・電気などの外部からの刺激で簡単に変形・応答し、自発的に多様な構造を形成します。物質を構成する分子やその集合体は複雑ですが、きちんと物理法則にしたがっていて、例えば身近な液晶デバイスはやわらかな分子の動きを応用しています。
研究室ではソフトマターの自発的な秩序形成に注目しています。(図1)は規則正しい固体のように見えますが、流動性をもった液晶分子が自発的に並ぶことで得られています。内部には独特の構造をもっており、光に対して面白い性質を示します。これまで知られていなかった物質のもつ自発的な振る舞いを見つけ、既存のテクノロジーを組み合わせることで、新たな応用が可能となります。そのためには、秩序形成のメカニズムを知ることも重要です。一般に、ソフトマターで見られる現象の多くは非平衡・非線形で複雑です。しかしながら、近年ではコンピュータを使った手法が発展し、計算を通じて、複雑な実験を再現することができるようなってきました。(図2) 実験と計算の両方から将来に役立つ物質の機能の開拓を目指しています。