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工学研究的フリートーク。

卒業生コラム 北大から世界へ

世界とともに廃炉課題に挑む

日本原子力研究開発機構 技術副主幹
坪田 陽一

[PROFILE]

出身高校
函館ラ・サール高校
2015年
(国研)原子力機構 核燃料サイクル学研究所 放射線管理部に配属
2018年~
同 廃炉環境国際共同研究開発センターにて放射性微粒子挙動に関する業務に従事

私が現在関わっているのは福島第一原子力発電所の廃炉課題のうち燃料デブリ取出し時に発生する放射性微粒子(ダスト)に関するものです。ダストは周辺に飛散しやすいだけではなく、呼吸とともに体内に取り込まれると、放射性物質による内部被ばくを受けるため、外部に出さないように管理するだけでなく、微粒子のサイズや化学形態、放射能などを評価することも重要です。

近い将来、実際の燃料デブリ取出しが始まりますが、それに先立つかたちで、私は2020年度にフランスの研究機関(CEAやIRSN)に滞在し、燃料デブリを模擬した物質を加熱・切断した際のダストを評価するプロジェクトに参加しました。その後も世界中から20以上の研究機関が参加するOECD/NEAの国際プロジェクトで試験結果の解析やリスク検討などを行っています。

廃炉課題は技術的に困難なだけでなく、科学的に未解明な点も多いため、世界中の研究者と一緒に考えることは非常にエキサイティングです。国外の研究者との協働はコミュニケーションのハードルが高い反面、思いもよらぬ知見が得られたりもします。学生時代や就職後、いつでも良いので世界に目を向けてみてはいかがでしょうか。

IRSNのダスト飛散抑制試験装置をバックに研究者とともに。
当時息子は0歳。渡航は大変でしたが良い思い出です。