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工学部の授業紹介

ナノ・テクノロジー入門

応用物理工学コース 半導体量子工学研究室
准教授 笹倉 弘理

[PROFILE]

出身高校
富山県立富山中部高等学校
研究分野
量子光学、スピントロニクス、量子情報
研究テーマ
半導体量子ドットを用いた量子情報処理に関する研究
研究室ホームページ

ナノテクノロジーに代表されるナノ(10-9m)の領域は、量子力学が支配する世界です。この「量子」の性質を積極的に利用した、量子暗号や量子コンピュータに代表される量子情報通信技術(量子ICT)に関する研究が盛んであり、報道メディアを賑わせています。

量子力学と聞くと、重ね合わせの原理や観測問題といった皆さんの直感と相容れない事柄が多く、取っ付きにくく感じるかもしれませんが、過去の履歴を追うことができる状態変化が繰り返される綺麗な世界です。

例えば「1+1=2」という極めて簡単な問題を考えてみましょう。左辺から右辺への変換は「必ず」成り立ちます。これを物理的に考えると、"1"という状態が2つあり、それらが"+"という相互作用によって"2"という状態に変わったと捉えることができます。しかしながら、一方でその逆は2+0、3+(-1)など無限の組み合わせが存在するため、不可逆な過程であることがわかります。

講義では、量子ICTを題材とし、極めて身近な例から始め、現象に対する科学的な視点や記述方法などを学んでいます。

(上)古典的な不可逆な状態変化、(下)量子的な可逆な状態変化