工学部発のア・レ・コ・レ
微量・簡便・迅速を可能にする分析・診断技術
応用化学部門 生物計測化学研究室
教授 渡慶次 学
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは、私たちの生活を大きく変えました。歴史で学んだスペイン風邪のような多数の死亡者を出したパンデミックが、科学技術が発達した現代においても起こるということに、ウイルスの生存戦略に脅威を感じます。
「PCR検査」、「抗原検査」、「抗体検査」などの専門用語が日常的に使われるようになり、一般の人にも検査の重要性が認識されてきています。もともとそれらの検査技術は、パンデミック下で使用されることを想定されたものではないため、検査に時間がかかったり、検査精度が十分でなかったり、技術の改善が望まれています。
私たちの研究グループでは、極微量の試料(例えば血液1滴)を迅速かつ簡便に分析・診断できる技術の開発に取り組んでいます。最近開発した小型装置(写真1)は、測定対象に応じた試薬を開発することで、いろいろな測定対象を分析・診断することができます。COVID-19の患者さんの検体をわずか20分で精度良く抗体検査することにも成功しました。
工学のミッションは、「人の役に立つものを創る」です。私たちは、研究開発で社会貢献したいと思っています。