注目の話題

多彩な面々による、
工学研究的フリートーク。

工学部発のア・レ・コ・レ

国際大陸掘削計画による生物圏
‒水圏‒大気圏‒岩石圏相互作用の解明

環境循環システム部門
環境地質学研究室

准教授 大竹 翼

[PROFILE]

出身高校
鹿児島県立甲南高等学校
研究分野
資源地質学、地球化学
研究テーマ
地球表層環境における金属元素の濃集について
研究室ホームページ

我々の現代的な生活は鉄・銅・金・プラチナ・レアアースなどの金属資源なしには成り立たちません。現在世界で採掘されている多くの金属資源が、先カンブリア時代という5億4千年前以前に地球表層環境の変動によって形成したと考えられています。

先カンブリア時代は、恐竜はおろか魚や植物などの大型生物はほとんど存在せず、微生物が活躍していた時代です。地球の歴史の半分以上を占めますが、地質学的な証拠が少なく、多くの謎が残されています。微生物は化石になりにくいため、どのような進化の歴史を辿ったのかを明らかにすることは非常に難しいのですが、近年、金属資源の形成は、そのような微生物進化とも深く関わっていることが明らかになりつつあります。

我々の研究グループは、昨年度、南アフリカにある約32億年前の地層をターゲットとした国際大陸掘削計画 (ICDP)に採択されました。ドイツ、ベルギー、アメリカ、フランス、オランダ、オーストラリアなどの地球科学者との国際共同研究です。今年度中には地下300mから微生物進化の歴史や金属資源形成の鍵となる情報を持った岩石コア試料が得られることになっています。今後の大発見に期待してください。

2017年に南アフリカバーバトンで行われた国際ワークショップの様子
IDCP掘削候補地にて岩石を観察する筆者ら