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エネルギー貯蔵の切札!?次世代蓄熱マイクロカプセルの開発

附属エネルギー・マテリアル
融合領域研究センター エネルギーメディア変換材料分野
准教授 能村貴宏

[PROFILE]

出身高校
札幌光星高等学校
研究分野
エネルギー化学工学
研究テーマ
次世代蓄熱システムの開発

世界のエネルギー供給体制・技術は大きな転換点を迎えています。すなわち、多量のCO2排出を伴う化石燃料を利用する技術から、再生可能エネルギー(再エネ)利用技術への転換です。そこで、不安定なエネルギー源である再エネを安定的に利用するためのエネルギー貯蔵技術(通称:蓄エネ技術)の確立が切望されています。様々な蓄エネ技術がありますが、最近、エネルギーを熱として貯蔵する蓄熱技術が特に注目されています。

私の研究室では、熱から電気へ変換する際に有利な高温の熱(500℃以上)を、高密度に、安心・安全に貯蔵することのできる直径30µm程度の蓄熱マイクロカプセル(通称h-MEPCM Hokudai製MicroEncapsulated Phase Change Mateiral)を世界に先駆けて開発してきました。図1はその構造を示します。金属製の蓄熱粒子が熱的・化学的に安定なセラミックスで覆われた構造となっており、この金属製蓄熱粒子の融解現象を利用することで潜熱として高密度に蓄熱可能です。

この蓄熱マイクロカプセルはエネルギー貯蔵の切り札(!?)として注目されています。研究を開発した当初は数mgしか作製できませんでしたが、現在は複数の企業と連携し、大量生産(tonオーダー)に向けた検討が進んでおります。また、再エネ利用技術としてだけではなく、産業排熱の回収や次世代自動車のサーマルマネージメントなど、様々な応用領域への適用が模索されています。

図1 次世代蓄熱マイクロカプセルの構造
引用:T.Nomura et al., Scientific Reports, 5, 9117 (2015)
マンガでわかるh-MEPCM(研究室ホームページをご覧ください!!)