資源循環システムコースの概要

私たちが地球環境との調和を保ちながら豊かで住みよい生活を営み,種々の生産活動や社会活動を行うためには循環型社会の形成が重要です。当コースでは,幅広い工学基礎教育をベースに,社会の中の資源の流れや環境問題についてさまざまな角度から教育し,21 世紀の循環型社会で求められる創造性豊かな自立した技術者・研究者の育成に努めています。また,少人数による実験・演習とインターンシップを重視した教育体制がこのコースの特色です。

先端技術を支える資源の開発と生産

「レアアース」や「レアメタル」という言葉を耳にしたことはありますか?これらは,携帯電話など先端技術の発展には欠かせない貴重な物質ですが,通常は鉱物として地層中に存在しています。また,最近では,海底にも有用な資源が豊富に眠っていることがわかってきました。われわれは,このような鉱物資源や石油・石炭などのエネルギー資源を安全に開発し,かつ,効率よく生産するために,地質構造や岩盤物性の調査,岩盤の爆破技術や 鉱石の粉砕技術の発展に努めています。

循環型社会に不可欠な資源のリサイクル

「都市鉱山(アーバンマイン)」という考えを知っていますか?都市にはさまざまな製品が大量に集まりますが,不用になった製品から有用な資源を回収し再利用できれば,都市はまさに無尽蔵の鉱山といえるでしょう。われわれは,主に金属製品やコンクリート製品から有用な資源をリサイクルするために,これらの組織構造の分析や粉砕・分離・選別技術の開発に取り組んでいます。

汚染環境の浄化と地層処分 −次世代の環境問題に挑む−

最近なぜ「重金属」が問題になっているのか知っていますか?重金属は人体に悪影響を及ぼすことがあるため,その濃度が高い土地の利用はリスクが高いからです。われわれは,重金属などの有害物質に汚染された土壌や地下水などを有効に利用するために,汚染環境の計測・評価システムと科学的な浄化技術の開発を進めています。また,原子力発電で排出される「放射性廃棄物」と呼ばれる危険な物質を地層中に安全に処分する技術の開発も展開しています。

さまざまな視点・スケールからの総合的アプローチ

上述した技術を開発・展開するには,地球の複雑なシステムを総合的に理解することが不可欠となります。われわれは「化学的な考え方」と「物理的な考え方」の両方からアプローチするとともに,原子・分子のレベルから地層のサイズまで,さまざまなスケールで地球と対話しています。最近では,「生物学的な方法」も積極的に取り入れています。