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温度コントローラー(の紹介)

はじめに

培養温度を一定に保つ装置です。恒温水槽や気温を調整することで目的を達成する装置など、様々なタイプがあります。ここでは恒温水槽とシリコンラバーヒーターを用いる方式を説明します。どちらも市販品の組み合わせの紹介になります。温度コントローラー部分をArduinoで自作可能ですが、消費電力が大きいので自作ではちょっと怖いところがあり、市販品のコントローラーを使用しています。

恒温水槽方式

恒温水槽とポンプで温・冷水を循環させる方式です。水槽内に蛇腹管(例えば、ステンレス冷却蛇管RDC-L アズワン2-947-03)を設置し、熱交換を促進させると効果が高いです。室温より高い加温タイプだと、循環ポンプ内蔵タイプ サーマックス ウォーターバスTM-1A(アズワン)などがあります。

とても簡単に導入できる反面、難点は蒸発によって水面が低下するとヒーターが空焚きになる恐れがあるので定期的に水を補充する必要があることと、循環水が汚れてくることです。蒸発を抑えるためには、卓球玉くらいのプラスチックボールを水面一杯に浮かべて水面全体覆ったり、発泡スチロールなどを浮かべるなどの対応が有効です。

室温よりも低い温度を設定するには循環水を冷却する必要があります。投げ込みクーラーと呼ばれる装置を購入するか、恒温水槽の代わりにチラーと呼ばれる装置を使います。あるいは設定温度が15〜25℃程度なら熱帯魚水槽用の冷却装置を使用することも有効です(例えば、小型ペルチェ式クーラーTegaruなど。循環用にマグネットポンプが必要。三相電機マグネットポンプPMD-0531B2B2など)

シリコンラバーヒーター方式

電気を通すと加熱するシリコンシートを水槽に貼り付けて制御する方式です。(混合培養系なら、)シリコンシートの代わりに水槽内に直接設置する投げ込みヒーターを利用することもできます。先の恒温水槽を使って制御する場合と比べて、水漏れ、水切れの心配が無く、設置面積が小さく済む利点があります。また、培養容器の外側に貼り付けるものなので、微生物汚染の恐れがないのもメリットです。

材料

  1. シリコンラバーヒーター
    • シリコンラバーヒーターで検索するとヒットすると思いますので、自分の水槽にあったものを選択します。
  2. 温度コントローラー
    • ここではTCN4S-24Rを用います。温度センサーのシグナルを温度に換算し、内蔵リレーで外部出力(=シリコンラバーヒーター)のON/OFFを制御します。
  3. 温度センサー
    • ファーメンターに設置するタイプを例にとります。T-35型 シース熱電対(非接地)T35323H。太さ3.2 mmで長さ30cmの仕様になります。熱電対型のセンサーならなんでも大丈夫です。

作製

温度コントローラー.jpgTCN4S-24Rの説明書を参考に図のように配線します。TCN4S-24Rの設定方法は説明書を確認してください。一点注意点ですが、シリコンラバーヒーターはAC100Vで100℃以上に加熱するので非常に高温になります。運転開始時の加温を始めるときは一番温度が高温になるので、この期間、火事などが起きないように注意してください。加温が終わってしまえば、とても扱いやすい装置です。