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放射性廃棄物処分工学特論

応用量子科学部門 原子力環境材料学研究室
教授 渡邊 直子
原子力は温室効果ガスである二酸化炭素を排出せずに発電ができるエネルギー源である一方、そこで発生する放射性廃棄物の処分施設の確保が世界的に課題となっています。高レベル放射性廃棄物を300メートルより深い地層中に処分する際、工学的にどのように放射性物質が生活圏に到達しないようにするのかが、この講義のテーマです。
高レベル放射性廃棄物は、原子力発電の使用済燃料の再処理で発生する廃液を、ガラス原料と合わせて融かし固めたもので「ガラス固化体」と呼ばれます。ガラス固化体には、放射能レベルが十分に減衰するまで長い時間を要する放射性物質が含まれています。処分施設の安全性を検討する上での考え方の一つとして、処分後、長期間を経て、廃棄物から放射性物質が地下水を介して人間の生活圏へ運ばれることを想定する「地下水移行シナリオ」があります。講義では、工学的に設置する「人工バリア」と地質環境に備わる「天然バリア」それぞれが、どのように放射性物質の移行を遅らせるのか、ビデオ教材で予習をして、疑問点や興味を持ったことについて深堀りすることを宿題とし、授業中にディスカッションをします。

