工学部の授業紹介
粒子線治療工学特論
応用量子科学部門 量子ビーム応用医工学研究室
教授 松浦 妙子
がん治療と聞くと、最初に思い浮かぶのは外科手術や抗がん剤治療だと思いますが、この他に放射線をがんに当てて直す治療(放射線治療)というのがあります。放射線と言ってもいろいろな種類がありますが、よくレントゲン検査で使われるX線のほかに、原子核や原子核を構成する陽子を猛スピードに加速して照射する粒子線治療があり、従来の放射線治療と比べて副作用を大幅に抑えられることが知られています。
講義では粒子線の物理的な特徴からスタートし、照射装置の仕組みから、がん腫瘍だけをピンポイントで攻撃するための照射技術、イメージング技術、放射線の生物効果をどう扱うかというところまで幅広い知識を習得します。毎年数回は、外部の研究機関から講師の先生をお招きして、最先端技術に触れる機会を提供するようにしています。工学的な知識や技術が、医療にどのように役立っているのかを理解し、どのように進めば現在の技術でカバーできないところを改善できるのか、がんの治癒率を向上できるのかを考えるきっかけができればと思っています。