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多彩な面々による、
工学研究的フリートーク。

研究・活動紹介

放射線に強い半導体の開発のために

量子理工学専攻
量子エネルギー変換材料研究室
修士課程2年 徳永 早希子

[PROFILE]

出身地
神奈川県
趣味
ゲーム・旅行
ひとこと
時間は一瞬なので、是非たくさん学んで働いて遊んでください!

最近は放射線という言葉が嫌われがちです。しかし、放射線は自然界にも普通に存在するものです。特に宇宙機や航空機は、宇宙を飛び交い地球に飛来する放射線の影響を強く受けるため、電子機器が放射線に晒された環境で、より長期間健全に動作する必要があります。そのため、放射線に対する耐性の強い半導体の開発が求められており、放射線が半導体の特性や結晶構造に与える影響を研究し明らかにすることは非常に重要です。

私の研究では、SiC(シリコンカーバイド)という、普通の半導体よりも様々な面で優れた特性を持つ“ワイドバンドギャップ半導体”に、実際に種々のイオンビームを照射し、微小な残留歪に着目してその結晶構造と特性の変化を解析しています。大学にある巨大なイオン加速器(図1)を用い、イオンビームをSiCに照射し、その試料をラマン分光器やフォトルミネッセンス法、電子顕微鏡など様々な手法で解析しています(図2)。今後、これらの解析から半導体の結晶構造変化メカニズムが解明されれば、耐放射線特性に優れた半導体の開発につながると考え、研究を続けています。

図1 巨大なイオン加速器
図2 SiCのラマン分光法による解析結果ラマンスペクトルは物質と結晶構造に固有であるため、それにより発生した構造を同定する。