HOME > 拠点形成計画

拠点形成計画


拠点形成計画の概要


本拠点のめざす環境社会工学「Sosio-Environmental Engeering」の教育体系
本拠点への社会的要請の高さは第二期科学技術基本計画でも明らかです。そこで設定された三つの基本理念の二つ、即ち(1)安心・安全で質の高い生活のできる国、(2)国際競争力があり持続的発展ができる国、と本拠点は密接な関係を持ちます。また、科学技術の戦略的重点化との関連では、重点分野の環境、都市域水・物質・エネルギー循環システムの再生と創造および流域圏自然循環・共生システムの維持と創造を本拠点は目指します。このような社会の要請に対して本拠点は、土木工学の担う役割と責任はホロニック・パス的発想による持続可能な社会の実現にあると認識し、対象として、(1)流域圏の水代謝システム、(2)流域圏の廃棄物代謝システム、及びこれらの構築と運用を支える(3)社会基盤施設管理システム、の三つのサブテーマを設定しました。


流域圏の持続可能な「水・廃棄物代謝システム」の構築のためには、先端的水処理システムの開発、資源リサイクル技術の開発、廃棄物の適正処理処分法の開発、長寿命新材料の開発、構造物延命化のための補修・補強技術の開発などの新たな土木技術の創出と、健康便益とリスク、環境便益とリスク、資源・エネルギーの生産と消費及び時間スケールと合意形成手法を考慮した新たなマネージメント手法の開発が必須です。本拠点は、流域圏の「水」と「廃棄物」の輸送系と質変換系を自律・分散型とし、適切な時空間スケールで計画・建設・運用する社会基盤システムを、ホロニック・パス的発想(個の自律性(独自性)を尊重しながら全体の調和を図る)にたって構築するための研究者・技術者を養成するプログラムです。そのために、質の利用・質変換のためのハードな技術と、人間の反応への対応や環境管理のためのソフトな技術を先端技術と融合させた上図のような新しい環境社会工学(Socio-Environmental Engineering)の体系を作ります。


拠点リーダー 渡辺 義公の研究


北海道大学大学院工学研究科教授(工学博士)
環境創生工学専攻 水質変換工学研究室
渡辺 義公
専門研究分野: 環境工学、衛生工学、水処理工学
所属学会: 土木学会、日本水環境学会、水文・水資源学会、IWA(国際水学会)
研究テーマ:
物理化学的処理と生物学的処理を組み合わせたハイブリッド用排水処理システム
膜分離法の水処理への適用
生物膜の機能と構造

先端的水処理システムをベースとした都市水代謝システムの構築:来たるべき持続可能型社会(Sustainable Society)においては、河川流域と沿岸域を含めた「流域圏」を人間活動の基本単位として、流域圏における生活環境を安全で快適な状態に維持するとともに、都市が自然環境にかける負担を最小にすることが必要です。そのために、
  • 膜分離などの新しい水処理技術を導入した高度浄水処理システム
  • 生物膜の有する構造と機能の解明
  • 分子生物学的手法を用いた環境微生物動態の解析
  • 物理化学的処理と生物学的処理を組み合わせたハイブリッド型高度下・廃水処理システム
  • 水処理汚泥の有効利用技術の開発


を行っています。それらを総合化して、下水の循環再利用により造水する非飲用系と非汚染原水により造水する超上質の飲用系で構成される、渇水と水質汚濁の問題を抜本的に解決できる新しい都市水代謝システムの構築を目指しています。