北海道大学大学院工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター

エネルギーメディア変換材料分野 秋山・能村研究室

研究室紹介

 

本研究分野が目指す究極の目的は、ホメオスタシスエネルギー社会の創成である。この実現に向けて、エネルギーを高密度に貯蔵、輸送、高効率に変換可能なマテリアル、プロセスを探求している。具体的には、(1) 太陽熱やプロセス排熱を高密度に貯蔵、輸送可能な次世代蓄熱材料、(2) エクセルギー再生原理を応用した省エネルギー空気分離・酸素製造プロセス、(3) 低品位炭材、アンモニアを燃料とした新製鉄法、(4) 燃焼合成法によるファインセラミックスの省エネルギー・短時間合成、(5) エコ・コンビナートの設計、を基軸に研究を展開している。

 

(1)次世代蓄熱材料の探求

 

PCM(相変化物質:Phase Change Material)を用いた潜熱蓄熱技術は、PCMの固液相変化潜熱を利用するため高密度に蓄熱可能、かつ相変化温度一定で熱を回収・輸送・供給可能である。当グループでは、室温から500℃超の高温領域まで、それぞれの温度に適した新規PCMの開発、およびプロセス設計を実施している。具体的には、@次世代パワーデバイスの熱管理技術のための高熱伝導性PCM複合材開発、A中低温未利用熱(排熱・太陽熱)利用のための糖アルコール系PCM開発、Bエクセルギー再生技術、太陽熱発電のための合金PCM開発を実施している。特に最近、300℃超の高温度域で利用可能なマイクロカプセルPCMを開発した。この技術は、長年固体顕熱蓄熱技術の独壇場であった高温プロセスにおける蓄熱、熱輸送技術基盤を革新する可能性がある(図1参照)。

 

 

Fig. 1 Expected MEPCM applications. Ref. T. Nomura et al: Sci. Rep., 5(2015, 9117.

 

(2)エクセルギー再生原理を応用した省エネルギー酸素製造プロセス

 

わずかな圧力スウィングのみで空気から酸素を分離可能な酸化物系酸素吸蔵材料を開発している。この材料の利用により、従来空気分離技術の半分以下のエネルギーで酸素を製造できる可能性が見出されている。

(3)低品位炭材、アンモニアを燃料とした新製鉄法

 

エクセルギー多消費産業である鉄鋼業は、資源・環境・エネルギーの三問題を抱えている。当グループはこの三重苦の解決を目標に、材料科学、プロセス工学の観点からアプローチしている。具体的には、@化学気相浸透法(CVI:Chemical Vapor Infiltration)を応用した低品位原燃料の高品位化技術、ANH3を還元材として使用する画期的NH製鉄法、B製鉄所における高温排熱の有効利用技術をキーテクノロジーとして、基礎実験からプロセス設計、システム創造まで幅広い視点で研究を進めている。

(4)燃焼合成法によるファインセラミックスの省エネルギー・短時間合成

 

粉体原料間発熱反応の自己伝搬を利用する燃焼合成は、省エネルギー・短時間・省プロセスでの材料合成が可能である。当研究委宇tは燃焼合成法を長年探求し、窒化物、酸窒化物、ペロブスカイト、水素吸蔵合金などあらゆる材料の合成に成功している。その中でも近年特に、窒化物(AlN、Si3N4、BNなど)および酸窒化物(SiAlON)が注目されている。例えばAlN、Si3N4、BNは高熱伝導率かつ、電気絶縁性のため、電子部品の放熱材として魅力的である。当グループは、燃焼合成技術を基盤として窒化物や酸窒化物への微量元素のドープや、それらの形状制御(ナノ粒子、ナノファイバー等、図2参照)による新規機能性材料の開発及びその機能性発現機構の解明を実施している。富士工業株式会社殿と共に大学発ベンチャー企業として株式会社燃焼合成を立ち上げた。

 

 

Fig. 2 A photo of a CS process

(5)エコ・コンビナート設計

 

ここでは真のエネルギー評価の尺度、エクセルギーを用いて損失の総和が最小となるシステムの設計を目指している。さらに恒常的にシステムを維持するために先端的なネットワーク理論による解析を進め、異業種が共生するエコ・コンビナートの設計に役立てている。

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