強度システム設計研究室

概要

本研究室は、省エネルギーを実現するため、1500℃以上でも使える耐熱合金や、鉄と比べて密度が1/3以下と軽量でありながら高強度な軽合金などを開発しています。最短経路での合理的な合金開発のために、物性と組織、組織と合金組成の関係の計算科学も含めた「実験的」な追求と「理論的」な理解に基づき、ナノ-マイクロ-メゾ-マクロの階層構造それぞれの物性最適化、さらには階層間の調和による、高いレベルでの物性・機能実現のための組織設計・組成設計の確立を目指しています。

研究テーマ

(1)耐火金属基超耐熱合金の組織・組成設計

鉄やニッケルなどを主要成分とした従来型耐熱合金では融けてしまう高温にも耐える「Refractory metals」。高温でのガス燃焼に基づく高効率発電実現のため、耐酸化性コーティングと複合強化相を組み合わせることによって、その特性のさらなる改善を目指す。

(2)超軽量・高強度材料の開発(Al、Mg)

活動すべり系制御によるMgの変形能改善と、新規強化相であるLPSOを組み合わせた高強度材料の組成・組織設計を目指して、単結晶を用いた塑性変形の基礎実験、さらに多元系相平衡の確立に取り組んでいる。ナノクラスタや析出物を制御することにより、強度-延性バランスに優れたアルミニウム合金を創製する。

(3)新規鉄鋼材料の開発

固溶。析出元素種、加工熱処理条件を制御することにより、優れた力学特性を有する鉄鋼材料を創製するための基礎的知見を得る。

(4)金属基材料の原子シミュレーション

Newton方程式に従って運動する多数の原子を追跡したり(分子動力学法)、偶然に左右される系の状態変化を計算機中で模倣したり(モンテカルロ法)、種々のシミュレーション方法を駆使して物性発現の背後にある物理を探る。