(2014/10/30作成開始,2015/02/16加筆)
ここでは卒業論文を書くために使うTeX(テフ)の数式の打ち方について説明します。
このページでは数式を表示するためにMathJaxを利用しています。javascriptがONでありかつこの(MathJax公式ページ)リストに載っているWebブラウザーを利用しているときのみに数式が正しく表示されます。ご了承ください。
\frac{a}{b}
\( \frac{a}{b} \)
\sqrt{a}
\( \sqrt{a} \)
a_1
\( a_1 \)
a_{10}
\( a_{10} \)
a_{10}
\( a_{10} \)
a^2
\( a^2 \)
a^{10}
\( a^{10} \)
\tilde a
\( \tilde a \)
\hat a
\( \hat a \)
\left < a \right >
\( \left < a \right > \)
\infty
\( \infty \)
\neq
\( \neq \)
\sim
\( \sim \)
\nabla
\( \nabla \)
\epsilon
\( \epsilon \)
\mu
\( \mu \)
\rho
\( \rho \)
\omega
\( \omega \)
\chi
\( \chi \)
\phi
\( \phi \)
\psi
\( \psi \)
\mathrm{i}
\( \mathrm{i} \)
\vec{a}
\( \vec{a} \)
\boldsymbol{a}\cdot \boldsymbol{b}
\( \boldsymbol{a}\cdot \boldsymbol{b} \)
\left | \boldsymbol{a} \right |
\( \left |\boldsymbol{a}\right | \)
\boldsymbol{a}\cdot \boldsymbol{b}
\( \boldsymbol{a}\cdot \boldsymbol{b} \)
\boldsymbol{a}\times \boldsymbol{b}
\( \boldsymbol{a}\times \boldsymbol{b} \)
\nabla\cdot \boldsymbol{b}
\( \nabla\cdot \boldsymbol{b} \)
\nabla_\bot\cdot \boldsymbol{b}
\( \nabla_\bot\cdot \boldsymbol{b} \)
\mathrm{Re} (c)
\( \mathrm{Re} (c) \)
L^{|l|}_{p}(x)
\( L^{|l|}_{p}(x) \)
\exp (x)
\( \exp (x) \)
\cos x + i\sin x = e^{ix}
\( \cos x + i\sin x = e^{ix} \)
\sum_{n=1}^{\infty} n^{-1}
\( \sum_{n=1}^{\infty} n^{-1} \)
\partial_x = \frac{\partial}{\partial x}
\( \partial_x = \frac{\partial}{\partial x} \)
\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}
\( \frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x} \)
\int_0^\infty \! \left ( x^{-1}+\log(x) \right ) \mathrm{d}x
\( \int_0^\infty \! \left ( x^{-1}+\log(x) \right ) \mathrm{d}x \)
\int_0^\infty \! \int_0^\infty \! \exp(-x^2-y^2) \mathrm{d}x \mathrm{d}y
\( \int_0^\infty \! \int_0^\infty \! \exp(-x^2-y^2) \mathrm{d}x \mathrm{d}y \)
\iint \exp(-x^2-y^2) \mathrm{d}x \mathrm{d}y
\( \iint \exp(-x^2-y^2) \mathrm{d}x \mathrm{d}y \)
\begin{pmatrix} a\\b \end{pmatrix}
\( \begin{pmatrix} a\\b \end{pmatrix} \)
\begin{pmatrix} a\\b\\c \end{pmatrix}
\( \begin{pmatrix} a\\b\\c \end{pmatrix} \)
\begin{pmatrix} a & b\\c & d \end{pmatrix}
\( \begin{pmatrix} a & b\\c & d \end{pmatrix} \)
\begin{pmatrix} a&b&c\\d&e&f\\g&h&i \end{pmatrix}
\( \begin{pmatrix} a&b&c\\d&e&f\\g&h&i \end{pmatrix} \)
TeX文章において数式を表示する方法について説明します。数式の表示方法は大きくインライン数式とディスプレイ数式の二つに分類されます。前者は段落の文章中に埋め込まれる数式のことを指し、後者は、数式のみが表示されるものを指します。図1に示した通り、赤枠で囲まれた部分がインライン数式で、青枠で囲まれた数式がディスプレイ数式です。インライン数式は、どちらかというと、本文中で行われる文字の定義やわざわざディスプレイ数式として表示するほどの重要性がない数式に使われます。一方、ディスプレイ数式は書いている論文において重要である数式に対して適用されるものです。ディスプレイ数式には様々な環境が用意されていますが、本ページではその中でもよく使うと考えられるものについて説明します。それ以外の環境については、参考文献でお調べください。
インライン書式モードは文章中の数式を$(ドル記号)で挟むことによって実現されます。例えば、
真空中における電場$\boldsymbol{a}$の波動方程式は
真空中における電場\(\boldsymbol{a}\)の波動方程式は
ここで、位相を$kz-\omega t$と取った。
ここで、位相を\(kz-\omega t\)と取った。
のように、文章中に現れる数式(数式モード内でしか実現できないもの、もしくは数式モード内で書くべきもの)を$$で挟むことによってその部分が数式であることをTeXのコンパイラに教えることができます。(ドル記号以外にも表記法があります。詳しくは参考文献4をご覧ください。)
equation環境はディスプレイ数式モードの中で最も標準的な物です。
\begin{equation} I(\tilde x, \tilde y,z=0) = 2|A|^2 (\tilde x^2+\tilde y^2) \exp \left ( -2(\tilde x^2+\tilde y^2) \right ) \end{equation}
\begin{equation} I(\tilde x, \tilde y,z=0) = 2|A|^2 (\tilde x^2+\tilde y^2) \exp \left ( -2(\tilde x^2+\tilde y^2) \right ) \tag{1} \end{equation}
このような内容をdocument環境(¥begin{document}~¥end{document}の間)の中に書くと、数式が表示されます。
数式には必ず式番号が付きます。この式番号はTeXのコンパイラが自動で連番を設定してくれるので、通常のワープロソフトよりも数式の管理が楽になります。式番号を出したくない場合は¥nonumberコマンドを¥begin{equation}~¥end{equation}の間に書いてください。
equation環境、align環境やmultline環境などのディスプレイ数式モードでよくやってしまうミスとして、環境の前後に余計な空行を入れてしまうことがあります。例えば、
$l=1,p=0$ラゲールガウスモードの強度分布は \begin{equation} I(\tilde x, \tilde y,z=0) = 2|A|^2 (\tilde x^2+\tilde y^2) \exp \left ( -2(\tilde x^2+\tilde y^2) \right ) \end{equation} で与えられる。
$l=1,p=0$ラゲールガウスモードの強度分布は \begin{equation} I(\tilde x, \tilde y,z=0) = 2|A|^2 (\tilde x^2+\tilde y^2) \exp \left ( -2(\tilde x^2+\tilde y^2) \right ) \end{equation} で与えられる。
式を連続して書くことがあると思います、その時に通常のequation環境を用いると、equation環境では常に式がセンタリングされるために見た目が悪くなる場合があります。この時、align環境を使うと綺麗に数式を並べて表示することができます。
\begin{align} L^{|l|}_0(\xi) &= 1 \\ L^{|l|}_1(\xi) &= -\xi + 1+|l| \\ L^{|l|}_2(\xi) &= \frac{1}{2}\xi^2 - (2+|l|)\xi + \frac{(2+|l|)(1+|l|)}{2} \end{align}
\begin{align} L^{|l|}_0(\xi) &= 1 \tag{1}\\ L^{|l|}_1(\xi) &= -\xi + 1+|l| \tag{2}\\ L^{|l|}_2(\xi) &= \frac{1}{2}\xi^2 - (2+|l|)\xi + \frac{(2+|l|)(1+|l|)}{2} \tag{3} \end{align}
ポイントは&と¥¥です。&は数式のどこの位置で揃えるか(少なくとも1行の数式の中に1つの&が無ければいけません)を指定します。¥¥は次の行の数式に移る前に書く印です(最後の数式の行に書く必要はありません)。align環境内で¥nonumberを使う場合、式番号を表示したくない式の所(例えば¥¥の手前)に書く必要があります。
align環境を使うためにはamsmath.styが必要です。通常TeXディストリビューションのなかに含まれているので、ブリアンブルにおいて、¥usepackage{amsmath}と書くだけでalign環境が使えるようになります。
equation環境では数式の改行ができないために、長い数式を書くときに苦労します。このとき、multline環境を用いると、長い数式を折り返して表示してくれるために便利です。
\begin{multline} u^\mathrm{LG}_{l,p}(r,\phi ,z) = A\left (\frac{\sqrt{2}r}{w} \right )^{|l|} L^{|l|}_{p}\left ( \frac{2r^2}{w^2} \right )\frac{w_0}{w} \\ \times \exp \left [ -\frac{r^2}{w^2} \right ] \exp \left [ i\left ( k\frac{r^2}{2R} +l\phi -(2p+|l|+1)\psi \right ) \right ] \end{multline}
\begin{multline} u^\mathrm{LG}_{l,p}(r,\phi ,z) = A\left (\frac{\sqrt{2}r}{w} \right )^{|l|} L^{|l|}_{p}\left ( \frac{2r^2}{w^2} \right )\frac{w_0}{w} \\ \times \exp \left [ -\frac{r^2}{w^2} \right ] \exp \left [ i\left ( k\frac{r^2}{2R} +l\phi -(2p+|l|+1)\psi \right ) \right ] \tag{1} \end{multline}
ここでのポイントは、¥¥です。これを入れた位置で数式の改行が行われます。equation,align環境と同じく\nonumber(式番号を表示しない)が使えます。
align環境と同じくamsmath.styが必要です。通常TeXディストリビューションのなかに含まれているので、ブリアンブルにおいて、¥usepackage{amsmath}と書くだけでalign環境が使えるようになります。
卒論などを書いていると、例えば、「式(1)のように定義される」など、式番号を参照したくなります。このとき、TeXの文章にそのまま「式(1)のように定義される」と書いてしまうと、式(1)の前に新たな式を書いてしまったときにいちいち式番号を修正しなければなりません。TeXではこれを避けるために>¥labelと¥ref(¥eqref)と呼ばれるものがあります。
ラゲールガウスビームは式(\ref{eq:LG})のように定義される。 \begin{multline} u^\mathrm{LG}_{l,p}(r,\phi ,z) = A\left (\frac{\sqrt{2}r}{w} \right )^{|l|} L^{|l|}_{p}\left ( \frac{2r^2}{w^2} \right )\frac{w_0}{w} \\ \times \exp \left [ -\frac{r^2}{w^2} \right ] \exp \left [ i\left ( k\frac{r^2}{2R} +l\phi -(2p+|l|+1)\psi \right ) \right ] \label{eq:LG} \end{multline}
ラゲールガウスビームは式(1)のように定義される。\begin{multline} u^\mathrm{LG}_{l,p}(r,\phi ,z) = A\left (\frac{\sqrt{2}r}{w} \right )^{|l|} L^{|l|}_{p}\left ( \frac{2r^2}{w^2} \right )\frac{w_0}{w} \\ \times \exp \left [ -\frac{r^2}{w^2} \right ] \exp \left [ i\left ( k\frac{r^2}{2R} +l\phi -(2p+|l|+1)\psi \right ) \right ] \tag{1} \end{multline}
上のように、本文中に¥ref{eq:LG}と書くと、¥label{eq:LG}と書かれている式を探しだして、その式番号に置換して表示します。(eq:LGなどの名前は任意です。日本語でも構いません。)
¥eqref{eq:LG}とすると、番号だけでなく括弧も付けてくれるのでさらに便利です。