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工学研究的フリートーク。

研究・活動紹介

危険な「そろばん道路」の謎に迫る

北方圏環境政策工学専攻
構造システム研究室
修士課程1年 池田 愛子

[PROFILE]

出身地
富山県高岡市
趣味
スポーツ観戦
ひとこと
ONとOFFのメリハリが大切だと思います。

北海道では冬になると、道路の交差点付近でコブ状の氷の塊のようなものが多数発生します。この凹凸起伏は、自然発生と消失を繰り返したり、場所によって発生の頻度が異なったりするといった特徴があります。「そろばん道路」と呼ばれるこれらの現象は、スリップ事故等の原因となり大変危険ですが、その発生メカニズムは未だに解明されておらず、現状では効果的な対策がとれていません。

そこで私たちは、大学周辺での観察や室内スケールでの実験を通して「そろばん道路」が発生する過程を解明する研究に取り組んでいます。海外では未舗装の道路でも確認されていることから、乾燥砂を用いて再現実験を行ったところ、路面の回転速度や時間、車に見立てた振動子が持つ固有振動数等の様々な要因が関係していることを発見しました。また、研究室内の大型冷蔵室において、人工雪や天然雪を用いた実験を行い、乾燥砂の場合との比較も行っています。

今後は、より実現象に近い実験や、数値解析的アプローチを融合した研究を行いたいと考えています。少しずつですが日々研究成果が出てきており、「そろばん道路」の謎の解明に近づいていることを感じながら、交通安全の面から社会に役立つという高い志を抱いて研究に取り組んでいます。

冬の札幌で観察されたそろばん道路
室内再現実験における凹凸起伏の成長過程