主な研究テーマ
原子層と量子井戸におけるスピンと擬スピンの生成と緩和
1原子の厚さの原子層や「井戸型ポテンシャル」で記述できる量子井戸において理想的な2次元電子系が実現されている.2次元電子系ではゲート電極により電子密度を変えられることなど,3次元系では不可能なことが可能になる.電子は電荷とスピンを持つ.従来型のトランジスタでは電子の電荷のみを用いて情報処理をしているが,スピンも活用するエレクトロニクス「スピントロニクス」が将来の有望な方向として注目を集めている.スピンを生成したり操作したりするためにはスピン軌道相互作用が要となる.この相互作用のおかげで従来通り電荷を動かすことによってスピンを操作することが可能になる.我々は,このスピン軌道相互作用を原動力としてスピンと電荷が織り成す現象を理論的に研究している.
関連する卒業論文・修士論文
・関連する研究が雑誌に掲載されました.Phys. Rev. B 101, 035306 – Published 31 January 2020
・関連する研究が雑誌に掲載されました.Phys. Rev. B 100, 125307 – Published 20 September 2019
ナノサイズの形状を持つ物質群の基礎物性
近年,ナノサイズの形状を持つ物質が,人工的,あるいは,自己組織的に生成され,それらを利用したナノテクノロジーと呼ばれる分野が大きな注目を集めている.ところが,低次元では一般に量子性が強く現れ,テクノロジーへの応用の前段階で明らかにされるべき基礎的な物性も,固体物理の基礎で習うようなバルクの凝縮系の持つ性質とは大きく異なる振る舞いを示す.我々はカーボンナノチューブや量子ドット,量子細線といったナノサイズの物質群の輸送現象,光学応答,弾性的性質に注目し,基礎物性の解明,新奇な物理現象の探索を目指している.
関連する卒業論文・修士論文
ナノ構造体における電子輸送特性
ナノスケールの物質では,電子の量子論的挙動が顕著に表れるため,マクロな系とは様相の異なる物理現象が発現する.我々は特にナノスケール構造における電子の量子輸送特性に注目し,数値シミュレーションを用いた理論的研究により,新奇的な電子デバイス材料の探索を目指している.
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