フライパンのテフロン加工など、身の回りでも様々な用途で使われる有機フッ素化合物(PFAS)は、環境中に残留しやすい毒性物質です。日本の水道水などにも高濃度で含まれていることがあり、メディアを賑わしていますが、あろうことか通常の浄水処理では処理が極めて難しい、厄介な物質です。この研究では、通常の紫外線より波長の短い「真空紫外線」ベースの促進酸化/還元法を駆使して、PFASを除去可能な浄水処理法の確立を目指します。 担当: 阿久戸, 上島 |
PFASはイオン交換樹脂により、極めて効率的に除去できます。このように、水道水源のPFAS汚染問題を根本解決できる可能性を秘めたイオン交換ですが、樹脂に保持されたPFASの処理法が確立されていないため、使用済みの樹脂は廃棄するという使い捨てがファーストチョイスとなっています。この研究では、樹脂から効率よくPFASを回収する手法を確立し(回収したPFASは促進還元処理で分解!)、イオン交換樹脂の再生利用による持続的かつ安価なPFAS処理法の確立を目指します。 担当: 阿久戸, 松井 |
浄水処理工程におけるオゾン処理や塩素処理などで農薬は分解され様々な分解物が生成されますが、これらの分解物は本当に安全なのでしょうか? この研究では、本研究室で開発した毒性試験法(コリンエステラーゼ活性阻害性試験, 4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ活性阻害試験)を駆使し、室内実験により浄水処理工程(塩素処理やオゾン処理)で農薬の毒性がどう変化するのかを調べ、毒性が増加した場合にはその増加に寄与する分解物を特定し、これらの毒性物質を水道水質基準に組み込むよう提言します。 担当: 小崎, 郷 |
感染性胃腸炎の主要因であるノロウイルスは、ヒト体外での効率的な培養法が未確立であるため、ウイルスの浄水処理性を評価する際に広く行われる室内実験を実施することが難しく、浄水処理でどの程度除去できるのかがほとんど分かっていません。この研究では、本物のノロウイルスと同じ粒子構造を有し、高感度に定量可能な "革新的ウイルス様粒子" を創製し、これを用いた室内実験を行うことにより、培養法に頼ることなくノロウイルスの浄水処理における除去性を明らかにします。 担当: 大久保, 岩澤 |
ノロウイルス及びE型肝炎ウイルスは、水を介した感染症の主要な原因ウイルスであるにも関わらず、効率的な培養法、更には、培養法を活用した感染力評価法が未確立であるため、浄水処理で実施される消毒工程によりどの程度不活化できるのかが全く分かっていません。この研究では、低効率ながらウイルス増殖が確認されたヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞・ヒト肺癌細胞を駆使することにより、浄水消毒工程におけるノロウイルス・E型肝炎ウイルスの未知動態を明らかにします。 担当: 福士, 山口, 佐々木 |