凍結融解作用を受ける斜面の崩壊予知・災害危険度評価システムの確立
◆数値解析手法による研究成果
〜数値解析手法による凍結融解・降雨複合型斜面崩壊モデルの検討〜
室内要素試験結果、室内模型試験結果を考慮して地盤の凍結融解現象を再現可能な応力変形・熱伝導・浸透連成解析方法を開発し、室内模型試験結果や現地計測等と数値シミュレーション結果との比較検討を行い、提案する数値解析手法の適用性を検討した。その結果、得られた知見を以下に示す。
@凍上の影響を考慮した凍結・融解時の地盤物性値の設定方法の導入及び凍結・融解時の間隙水の移動を考慮した飽和/不飽和浸透流に関する基礎方程式の離散化と解析プログラムへの組み込みを行い、寒冷地斜面で発生する凍結・凍上融解現象を簡略モデル化した、応力変形・熱伝導・飽和/不飽和浸透連成FEM解析プログラムを開発した(図5参照)。
A開発した解析プログラムを用いて、繰返し凍結融解作用を受ける斜面の変形挙動解析及び、凍結層融解中の降雨による斜面の変形挙動解析を実施して、地盤の凍結・凍上現象や降雨浸透に伴う水分移動、降温・昇温時の凍結土層の斜面内の発生・融解、凍上・凍結融解時の融解土層のせん断挙動、飽和/不飽和浸透時の融解土層のせん断挙動等が模型試験結果と定性的・定量的にほぼ一致することを確認し、積雪寒冷地の帯水斜面で生じる凍結融解・降雨複合型表層崩壊現象に対する提案した解析手法と開発した解析プログラムの有用性を示した。
図5 応力変形熱伝導浸透連成プログラム