凍結融解作用を受ける斜面の崩壊予知・災害危険度評価システムの確立


◆室内模型試験による研究成果
〜室内模型試験による凍結融解・降雨複合型斜面崩壊機構の検討〜

降雨履歴載荷型の二次元平面ひずみ模型土槽装置を用いて、様々な試験条件あるいは条件の組み合わせを変えながら、斜面を構成する土の特性に着目して凍結融解・降雨による模型斜面の崩壊実験を実施した。その結果、得られた知見を以下に示す。

@凍結融解履歴を受けた破砕性斜面は融解過程で崩壊するなど確実に構造の劣化を引き起こし、その影響は大である。また、凍結融解履歴により粒子破砕が起き、その影響は高含水比ほど大きくなる。

A凍結融解履歴によって生じるすべりの影響範囲は、凍結深として簡易的に考えることができ、また斜面内で生じる凍結融解履歴による体積変化特性(ダイレイタンシー特性)を把握することにより、寒冷地にある斜面崩壊を一律に評価することが可能である。

B土質材料の違いならびに凍結融解履歴の有無にかかわらず、斜面崩壊時の含水比と初期の含水比の間には一義的な関係が存在する(図4参照)。このことから、凍結深さからすべり線の発生位置(崩壊深さ)を推定し、その崩壊深さに設置した土壌水分計から含水比を把握することにより、降水・融雪水による斜面崩壊の危険度を予測することが可能である。



図4
 崩壊時保水量と初期含水比の関係