ニュース&レポート

工学研究院・工学院の
ニュースをお伝えします。

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「工学系部局なんでも相談室」のご案内

工学系部局なんでも相談室では学生や教職員の方からのご相談を受け付けています。

新型コロナウィルスの蔓延で、学業上もプライベートもオンライン中心の生活を強いられたこの2年間でしたが、この4月からまた対面中心の学生生活にシフトしつつあります。

この間、他者とのコミュニケーションの取り方が根本的に変化し、私たちはそれに合わせようと努力してきました。対面中心の生活への変化は待ち望んでいたところではありますが、活動制限にある意味馴染んできたところでの再びの変化は少なからず私たちに影響を与えるものと思います。

ひとは変化に適応しようとするときに必ず疲労やストレスを感じます。特にそれが望ましい変化であるときは嬉しいといった感情が先立ち疲労やストレスは見えにくくなるものです。しかしそれらを放置し適切な対処を行わないでいると、時に健康不安に結びついてしまうことがあります。

みなさんはこれから進学、専攻選択、研究、就活、そして卒業とこれまで経験したことのない大きな変化を迎えようとされています。そんな変化を柔軟に受け止め楽しんでいかれることを私たちは心より望んでいます。

相談室ではそういった充実した学生生活が送れるように、みなさんのお話をお聴きしながら、ストレスや不安が少しでも解消されるようにお手伝いしています。

(安全衛生管理室)

石原 一人(カウンセラー)
リーフレット

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360°VRシアターを設置

この度、北海道大学大学院工学研究院は、工学部に我が国初となるフィールド科学体験のための360°VRシアターを設置いたしました。

当該シアターは直径8m、高さ2.4mの円筒型のシアターであり、多人数が同時に3D立体視によるフィールドの没入体験が可能な設備となります。メインの映像コンテンツとして、オーストラリアの資源教育で使用されている「Mineral Awareness」(UNWS提供)が投影可能であり、現実には入ることが出来ない鉱山フィールドをVRで体験することが可能になります。 その他のフィールド科学体験コンテンツも鋭意作成中であり、今後のフィールド科学(工学、理学、水産学、農学、etc.)教育に活用していきます。

また、フィールド科学の分野に捉われず医学、スポーツ科学、教育学への適用も視野に入れています。さらに、大学の知の社会還元の一環としての一般公開も企画しております。

(工学研究院 環境循環システム部門教授 川村 洋平)

専用グラス着用による立体視を実現
360°の仮想空間(鉱山フィールド)

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文部科学大臣表彰受賞者の研究を紹介します

4月8日(金)、文部科学省より令和4年度文部科学大臣表彰の受賞者が発表されました。

同賞は、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術の水準の向上に寄与することを目的としています。

大学院工学研究院からは、大野宗一教授(材料科学部門)が「数値シミュレーションによる金属材料の組織予測に関する研究」により科学技術賞(研究部門)を、佐藤博隆准教授(応用量子科学部門)が「広エネルギー中性子応用工学による材料システムの超階層研究」により若手科学者賞を受賞しました。

ここでは、受賞したお二方の研究内容をご紹介します。


数値シミュレーションによる金属材料の組織予測に関する研究

材料科学部門 マテリアル設計分野 教授 大野 宗一

革新的材料開発や材料開発時間の飛躍的短縮など、材料分野における重要課題の解決には、それに資する計算機シミュレーション技術の構築が急務です。しかし、材料開発の要となる「材料組織」の予測技術は、[Ⅰ]計算規模の制約、[Ⅱ]数理モデルの欠陥、[Ⅲ]材料物性の欠如、という三つの問題によって発展が遅れてきました。

本研究では、これらの問題を解決するため、[1]材料組織の大規模シミュレーション技術、[2]実用合金の凝固・粒成長組織を世界最高精度で予測するフェーズフィールド(PF)法、そして[3]分子動力学(MD)法とPF法を同一時空スケールで融合して物性値を算出する新しいデータ科学のアプローチをそれぞれ開発しました。これらの取り組みによって、PF法では従来の100倍以上、MD法では100億原子の大規模計算に世界ではじめて成功し、実用合金における凝固・粒成長の組織予測が高精度化されました。さらには、データ科学によって未知の物性値が原子レベルの情報のみから算出できるようになったことで、材料組織予測技術が著しく発展しました。


広エネルギー中性子応用工学による材料システムの超階層研究

応用量子科学部門 物質量子工学分野 准教授 佐藤 博隆

私達の身の回りには様々な「モノ」が溢れており、優れたモノによって豊かな社会生活を送れています。例えば私達の研究に関係したモノとしては、自動車、バッテリー、通信システム、文化財といったモノがあります。モノは物質・材料が集合した「システム」と捉えることができ、その改良や謎の解明を目指して日夜研究が行われています。物質・材料のシステム・マクロ・ミクロ・ナノ・アトムスケールの各階層における構造や現象は、例えば量子ビーム(放射線)の散乱・吸収・透過を利用することで研究されています。しかし、全階層に渡って俯瞰的に、すなわち「超階層的に」研究することは困難でした。そこで、中性子ビームの「物質との相互作用を利用した微視情報解析能力」と「高い物質透過能と大きなビーム発散角を利用した広範囲解析能力」を組み合わせることで、課題解決を行いました。さらに、幅広い運動エネルギー/波長の中性子を利用することで、様々な形の研究を展開できました。なお本研究では、本学の電子加速器駆動パルス中性子源における中性子工学研究が重要な役割を果たしています。