ウイルスと工学
今般、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、
感染拡大防止と早期収束へ向けた行動自粛が求められています。
北海道では全国に先駆けて感染拡大防止対策がとられ、
一時は収束傾向と思われましたが、その後再流行が示されるなど
現在も引き続き、警戒を必要とする状況です。
このような私たちの健康を害するウイルスから日常生活を衛るべく、
各分野の専門家の知見に基づく感染症対策が実施され、
また、世界中の大学や研究機関において研究開発が進められています。
今回の特集では、北海道大学 大学院 工学研究院にて
さまざまな領域から「ウイルス」研究を行っている教員が登場し、
最新の研究内容を分かりやすく紹介します。
なかには新型コロナウイルス対策に直接関わっている研究もあり、
まさに現在進行形のトピックスですので、
皆さんにも興味を持って読んでいただけるものと期待しています。

これからの健康と
日常生活を考えるヒントに
本特集では4つの分野――有機化学、建築衛生学、水環境工学、環境ウイルス学を専門とする先生方に「ウイルスと工学」のテーマで最新の知見をご紹介いただきました。ウイルスのタンパク質構造や自己組織化の仕組み、作製されたウイルス様粒子を用いた水道水の浄水処理性の検証、現代の省エネルギー建築における感染症対策の重要性、さらには建物から排出された下水の調査による感染流行状況の評価に至るまで、多岐に渡りながらも相互の関連性が垣間見れる内容でした。
このように北海道大学 大学院 工学研究院では私たちの健康と密接に関わる研究もたくさん行われています。今回の特集「ウイルスと工学」が、今後の学生生活や日常生活を健康で充実したものにするための有益なヒントとなれば幸いです。
ポストコロナ社会の
新たな課題も視野に入れながら
北海道大学では新型コロナウイルスの影響を受け、春夏学期の授業をオンラインで実施しました。学生はもちろん、担当教員も慣れない環境ではありましたが、学内の情報系リソースを活用しながら進めてきたところです。
これからのウィズコロナ・ポストコロナ社会においても工学や情報科学技術を用いた環境の整備および利便性の向上が、ますます進むことでしょう。その一方で自宅学習やオンライン授業の期間中に生活リズムが乱れたり、心理的不調や体力の低下を経験された方も少なくないと思います。
科学技術を駆使した新しい生活スタイルを構築していくなかで、副産物として生じる健康への影響もまた、各分野で連携して解決しなければならない課題ではないでしょうか。
コーディネーター 若林斉(工学研究院 環境工学部門 准教授)