研究紹介

岩盤斜面の健康診断法開発

空間計画講座
建築史意匠学研究室

セメントの原材料となる石灰石は、我が国で数少ない完全自給資源です。石灰石の採掘場は日本各地に点在しており、年間の生産量は2億トンを超えています。これらの採掘場では、主に階段状に掘っていくベンチカット式の露天採掘で行われ、採掘に伴い数百メートルの高さを超える巨大な岩盤急斜面が作られます。

この巨大な斜面は諸刃の剣でもあります。なぜならこの急斜面が壊れると、大きな災害となるからです。私達の生活する北海道で起こった、岩盤崩落からトンネルを押しつぶした事故は、まだ記憶に新しいものです。

このような事故を防ぐことと石灰石の効率の良い生産性を確保するためには、岩盤斜面の安定性を監視する技術が不可欠です。

当研究室では、岩盤斜面が健康(安定)であるかどうかを評価する方法の開発を試みています。

現在は、コンピュータシミュレーションによる岩盤斜面の挙動予測の結果と現場での計測データを比較することにより、岩盤斜面の健康診断法の開発について研究しています。

現場の計測は、現在のところ本州の3地点の石灰石鉱山で実施していますが、今後さらに増やす予定です。