研究紹介

高分子・超分子機能性物質の合成およびレーザーによる機能制御・評価

分子機能化学講座
分子材料化学研究室

1. 高分子・超分子の精密構造制御による機能性物質の創成

高分子化合物および高分子–高分子、高分子-低分子からなる超分子系化合物の分子設計、合成、構造解析、および機能評価まで一貫した研究を行います。有機材料の物性・機能は、材料を構成する分子あるいは分子間の構造に強く影響されるため、分子レベルからのボトムアップ設計は新材料創成の上で重要です。 私達の現在の研究対象は、(i)キラル構造を有する高分子・超分子、(ii)π電子系の階層構造を制御した高分子・超分子です。前者については特にらせん型構造の構築とキラル機能の発現に、後者については特にπ電子系の積層構造(π-スタック構造)の構築と光電子機能の発現に重点を置いています。


2. 高分子・超分子の量子機能制御

原子や分子の状態は波動関数によってあらわされます。波動関数は一般的な波とよく似た性質を持っていて、波の周期や位相といったパラメータがあります。位相が同じ波同士を重ね合わせると強めあい、位相が180度ずれた波同士を重ね合わせると弱めあう、いわゆる干渉現象が知られていますが、これは波動関数においても起こりうる現象です。近年、このような波動関数の重ね合わせ状態(量子ビット)を積極的に利用する量子コンピューティングや干渉効果による量子化学反応制御が注目され研究されています。私たちの現在の研究対象は(1)光位相制御されたレーザーパルス列の生成法の開発と、その装置を使って、(2)波動関数の位相の乱れる過程(デコヒーレンス・位相緩和)の基礎的な研究、(3)Host-Guest包接超分子系を用いた波動関数の位相情報の保護の可能性の探求をおこなっています。


量子干渉制御装置と干渉シグナル