生物機能高分子専攻

生物機能高分子専攻の紹介

生命現象の理解を通じて得られるライフサイエンスを私たちの生活に役立てようとする生命工学は、医療、環境、エネルギーなど様々な分野で応用されつつあり、21世紀を迎えてますます躍進しようとしています。

本専攻は、生物工学講座と分子機能化学講座の二つの基幹講座および動物細胞工学講座(連携講座)から構成され、ライフサイエンスに学ぶシステム作りや考え方を再生医療、バイオテクノロジーあるいはナノテクノロジー等の様々な分野に応用し、人間や地球環境が健全に保たれる持続可能な社会の実現を目指して研究を行っています。

たとえば、生物工学講座と動物細胞工学講座(連携講座)では、ライフサイエンスの知見を利用して体の失われた組織や機能を再生する再生医療の実用化を目指して生物工学や動物細胞工学の研究に取り組んでいます。すなわち、ヒト体内に少数ある幹細胞を取り出し、工夫して構築した体外環境で増殖制御し数を増やし、希望した組織細胞へ効率的に分化誘導し、また特別に設計した細胞接着担体に包み込み再生組織を作り上げ、患者さんへ移植するのです。このような努力により、再生医療が従来の製薬と共に重要な産業に育つと確信しています。

また分子機能化学講座では、生物を構成する細胞の生体膜を化学的に模倣して構築した人工的な細胞システムの研究があります。この人工細胞には遺伝情報DNAや酵素タンパク質などの生体高分子を導入することができ、外部環境からくる種々の分子が細胞膜と細胞内物質に与える影響を検出・解析することにより人工細胞の生物機能を制御できます。このように、生物機能を化学的に模倣することにより、高性能な高分子材料の開発や新しい測定システムを作り出すことができます。

これらの他にも、化学的・生物的医薬品開発、環境にやさしく生体に適合する高分子材料の開発、マイクロレベルの計測システム、量子コンピューティングなどのテーマについて、現在そして未来の社会的ニーズを常に意識しながら研究・教育を展開しています。その中で若い人の斬新なアイディアが日々積極的に取り入れられ、新しいブレークスルーが生みだされています。