研究紹介

動物細胞培養工学

生物工学講座
細胞培養工学研究室

1.動物細胞培養工学

動物細胞は微生物と異なり、接着依存性である、増殖が遅い、専断力に弱い、栄養要求が複雑である、などの特徴を有しています。そこで動物細胞の大量培養実現のために、我々はマイクロキャリアー培養法、特殊な溶存酸素供給技術、酸素供給速度のオンライン測定技術、低血清培地、浸透圧や静圧によるタンパク質生産の制御、アポトーシスの動的制御などの研究をしてきました。

2.ハイブリッド型人工肺構築

通常使用されている人工肺はポリプロピレン中空糸膜を介して血液と酸素ガスとの間でガス交換を行いますが、人工材料であるため炎症反応が問題となっています。これに対して中空糸膜表面に内皮細胞を接着した抗炎症性にすぐれたハイブリッド型人工肺を我々は提案しています。このなかでポリプロピレン中空糸膜に種々の修飾を行い強固な細胞接着を達成してきました。

3.骨髄間葉系幹細胞からの軟骨再生

Ⅱ型コラーゲンとアグリカンを主成分とする軟骨組織の骨髄間葉系幹細胞(MSC)を利用した再生治療を目的とし、密度勾配遠心分離を行わない骨髄液からのMSC簡便分離法、ウシ胎児血清の代わりに患者自己血清と増殖因子を用いるMSCの安全な増幅法などを確立しました。さらに、MSCの軟骨細胞への分化効率の改善を定量的RT-PCR手法を用いて開発し、得られた軟骨細胞の軟骨組織への三次元培養法も提案してきました。