代表からの挨拶

 地球規模で人間社会がグローバル化したことで、人類は資源と空間が有限であることに気づき、制限された空間(閉鎖系)であるが故に気候変動と人口増加に対応する食料生産の問題が強く意識されるようになりました。特に、北海道は日本の食を支える主要な食料生産地帯であり、先進的な農林水産業が行われています。しかし、近年就業人口は急激に減少し、人手不足や高齢化、後継者不在等の問題が顕在化しています。加えて、農林水産業における環境保全の必要性も増しており、SDGsへの取組と併せて、一層の効率化や省力化、収益性向上を通じて、若手労働者を呼び込める職業としての魅力向上を進めなくてはなりません。

 このような背景のもと、北海道大学は最重要ミッション「フードバレー構想」に基づき、農林水産業に生産工学の概念を取り入れることで食のバリューチェーンを堅牢化(ロバスト化)するための組織作りの検討を開始しました。そして、現場ニーズ対応型の農林水産工学技術を開発する研究会「科学技術先導研究会」を2017年に設置しました。さらに、翌年の2018年4月に発展的に「北海道大学ロバスト農林水産工学国際連携研究教育拠点(以下「ロバスト拠点」という。)」に組織替えをして現在に至っています。ロバスト拠点は主に農学研究院、水産科学研究院、工学研究院が密接に連携して、農林水産業のロバスト化に資する実学を目指しており、道内外の大学(約200研究室)、企業・財団法人(約100組織)、国・自治体(約30組織)の総勢400名近くが、会員として参画されています。この拠点は農林水産省“「知」の集積と活用の場研究開発プラットフォーム“として登録され、この活動は2019年版“農業白書”の第6節で紹介されました。
 
 農林水産業が対象とする分野は幅広いため、ロバスト拠点では次の7つの分科会を設けて所望の目的を達成するために活動を進めています、①フィールド対応技術、②商品への加工技術、③長期鮮度保持技術、④消費者嗜好適合型の生産技術、⑤バイオマス資源化技術、⑥食のバリューチェーンの防災技術、⑦国際連携。これに加えて、ロバスト拠点の共通施設として、研究成果の検証を行う温室2棟を北海道大学の農場に設置しました。エネルギー供給は隣接する牛舎の消化槽で発生するバイオガスを利用しています。さらに、萌芽的研究を推進するために、ロバスト拠点の会員を対象に研究公募を行っています。
 これらの活動を通じて、農林水産業現場の問題解決や技術革新につながる研究プロジェクトを企画・策定・実施し、これにより関連産業の学問領域の創生と、技術革新による農林水産業のロバスト化、さらには農林水産業の魅力向上に寄与することを目的としています。

 現場の就労者も含め、産官学の皆様が参画されますことを願っております。
 

ロバスト拠点代表 増田 隆夫 (工学研究院 特任教授)

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