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井口 學特任教授が平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰-科学技術賞を受賞


北海道大学での伝達式の様子
(佐伯総長を中心に前列左が井口特任教授)

特任教授井口 學氏が,「旋回噴流式オゾン酸化法の技術の開発」により,平成23年度文部科学大臣表彰-科学技術賞を受賞され,5月9日(月)に北海道大学において伝達式が催されました。

井口先生は,一貫して鉄鋼を始めとする材料プロセスの輸送現象とプロセス開発に携わり,材料プロセス工学分野の発展に貢献されました。 1000℃を超える高温溶融金属中へ,攪拌,不純物の除去,非金属介在物の除去,化学反応の促進,スクラップの溶解促進などを目的として吹き込まれるガスの挙動の測定が可能なセンサを世界に先駆けて開発するとともに, 溶融金属の流速測定が可能なカルマン渦流速計を開発・実用化し,高温場における輸送現象解明に多大な貢献をしたことで国内外で高い評価を受けています。 さらに,これらの測定機器を用いて,材料プロセス反応容器内の気泡の動的挙動と気泡のガスリフト効果によって容器内に誘起される溶融金属の流動特性を明らかにし,既存のプロセスの性能改善はもとより,新しいプロセスの開発に資する多くのデータを送り出しました。 また,ガス吹き込みだけでなく,機械式攪拌を伴う材料プロセスの特性解明についても大きな貢献をされています。

これらの研究の過程において,反応容器内へガスや液体を吹き込んだときに現れる浴表面の旋回現象が,非常に強い攪拌力を有することに着目し, 新しい攪拌方法として利用できると考え特許申請をし,当時の北海道TLO(Technology Licensing Organization)の最初の特許として認められています。 この攪拌方法は,まず融雪装置として実用化され,その後,オゾン処理法と組み合わされて汚水・排水処理分野で広く用いられ,旋回噴流式オゾン酸化法として知られるようになりました。 また,本攪拌方法は,社団法人日本発明協会から奨励賞を授与されており,今後も汚水・排水処理だけでなく,ホタテウロやイカゴロからのカドミウム除去,野菜類の洗浄などにも適用が期待されています。

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